2016.06.07

近代のスポーツにおけるフェアプレイとは?

【ken】が担当する教養科目「スポーツの歴史と発展」は、未開から近世までの身体運動文化の歴史的な変遷を辿るとともに、近代のスポーツ概念の成立とそれ以降の急速な適応領域の拡大を学び、現代から次代へのスポーツ概念の発展を考え、今後スポーツに関わるものとしての広くそして深い教養の涵養を目的に開講されています。

学期も半ばを過ぎ講義内容は、いよいよスポーツ概念が成立した近代におけるスポーツを学んでいるところですが、近代スポーツの成立とともに、スポーツ文化に深くかかわる「フェアプレイ」や「スポーツパーソンシップ」の成立について受講者からの疑問がでてきているところで、近代スポーツにおけるフェアプレイの成立を専門にご研究されているOUHSのU垣先生を、ゲストスピーカーとしてお招きし、ご講義を賜りました。


U垣先生はスポーツ史・スポーツ倫理学、特に近代のスポーツ概念の黎明期におけるフェアプレイといった倫理的側面をご専門に研究をされておられ、多くの著作や論文を発表されておられます。当時の資料を徹底的に収集し、これまでのフェアプレイの歴史認識を疑い、独自の視点からフェアプレイを歴史的に多層性を持ったものとする視点を拓いておられます。この回の講義では、こうしたフェアプレイの多層性についてのアイディアが生まれた経緯などもお話しいただきました。受講生らは、過去にあったとされる史的通説をただ受け入れ、理解するのではなく、一次資料を丁寧に読み解き、埋もれてしまった史実を冷静にあぶり出し、あらたな歴史認識を構築するという歴史研究に大いに興味をかき立てられたようでした。


また、U垣先生の「やわらかいが、ポイントでは一語一語丁寧かつ情動的な」語り口は、受講生を一気に近代のスポーツが行われていた時代へと引き込み、日頃の【ken】の講義では見られない講義への積極的な取り組みが見られました。
授業者としての指導技術についても、大変勉強になりました。
U垣先生ありがとうございました。



【ken】