2016.06.21

書を携えて・・・。その2梅雨編

季節は梅雨に入り、雨が続いております。

大学では前期の講義も残り3分の1を残すのみとなり、学生のみなさんからは定期試験についての話題がよく出るようになっています。
一方、我々教員は、その定期試験の問題作成を行っており、担当する講義を通じて学びとって欲しい内容を改めて精選するところでもあります。

さて、最近特に興味深く読んだ本のうち、今回ご紹介したい本は、
混ぜる教育 80カ国の学生が学ぶ立命館アジア太平洋大学APUの秘密」崎谷実穂、柳瀬博一著、日経BP社 です。

この「混ぜる教育」は、九州は別府に2000年に開学した「立命館アジア太平洋大学(APU)」を取材したルポルタージュです。
APUは、6000名の学生の半分が留学生で、またその出身国も実に80カ国からやってきていることや、教員も50%が外国人で、多くの授業が日本語と英語の2本立てて行われているなど、我が国のあらゆる大学のなかでも特に異彩を放ちつつ、グローバルに活躍する人財を輩出しています。
本書では、そうしたAPUの、日本人学生と外国人学生、多くの学問領域、教員と職員、大分別府と世界、企業と大学などのあらゆる構成要素を「混ぜる」ことによる教育とその効果が実例を交えて詳しく紹介されています。これは、これからの大学だけではなく、社会のあり方にも多くの示唆を与え得ることができる内容で、これからの社会をつくる学生のみなさんにも手にとって読んでみて欲しいと思います。

さて、我々スポーツ健康科学部は、APUと同じ学校法人である立命館大学のなかにありますが、立命館大学はその教学の特徴として、当然APUとも共通点があります。たとえば、教員と職員が共に協力しあいながら教育や大学の運営にあたる「教職共働」や、学生同士が互いに教えあうことで、それぞれの教育的効果を高めあう「ピアティーチング」などが古くから全学的に採用されており、こうした考えは【ken】も着任時に非常に驚いた点です。
今回本書を読んで、それぞれの立場やバックグラウンドを持ったもの同士が従属的な関係(sub-ordination)ではなく、並列的な関係(co-ordination)を構築することが重要だとする基本的な立場の重要性に改めて気づかされました。日々の教学のうち、【ken】が担当するものが、こうした考えに則って行うことができているか、常にフィードバックして臨みたいと思います。

あと、まだAPUには行ったことがないので、是非機会があれば、訪問したいと思います(併せて別府の温泉も、ですが・・・)。




追記:梅雨の花といえばアジサイですが、このアジサイは、先日近所を散歩中に見つけたもので、「ガクアジサイ」と呼ばれる種だそうで、これが日本の固有種なのだそうです。われわれがよく見る大きく丸い手毬のような「ホンアジサイ」とは異なり、小ぶりながらも、どことなく品を感じる佇まいでした。





【ken】