2016.07.01

高校野球の指導


naoです

高校野球の監督になることを夢見て、スポ-ツ健康科学部で勉強している学生は少なくはないと思います。
私のゼミでも1期生、2期生、3期生と必ず1~2名はいます。
すぐに監督になるのではなく、アシスタンスコ-チとして様々なことを学び監督になるための準備をしていきます。
そこで、今回はこの厳しい夢の切符をつかもうと頑張っている大学院生に話を聞いてみました。



金城岳野君は、立命館大学文学部からスポ-ツ健康科学部大学院博士前期課程<現在M2>に進学してきました。
土日になると、母校の立命館大学附属宇治高校の野球部の学生コ-チとして高校生を指導しています。
特にピッチャ-の体力トレ-ニング、スロ-イング技術、バッティリ-の戦略などを中心に指導を行っています。
選手を見ていると、小学校から野球を経験していても、下肢を使っていない投球動作であったりするため、戦略面の指導よりも体力や技術指導に多くの時間をかけているそうです。
短い距離のダッシュの繰り返しやレジスタンストレ-ニングによって、下半身の強化を図っているそうです。
ところが、地面を強く蹴るランニング動作が出来ていない生徒らが多く野球の走法を学ばせる課題があると言います。



また手や肘の投射時の位置が低いことから球威が低下するので、写真に示すような膝立ての姿勢をとらせたり腕と下肢の動きのタイミングを合わせるネットスロ-という練習方法を取り入れて投球フォ-ムの修正を行っているそうです。
これらピッチィング練習で大事なことは、軸足でしっかり地面を蹴るために、軸足の膝が速いタイミングで進行方向を向かないよう留意しているそうです。
その点を意識させることによって、投球時のステップ幅が広くなり、下肢のエネルギ-を上肢に上手く伝えることが出来て結果的にボール速度が高まってくるそうです。

金城君は、毎試合後バッテリ-に良かった点を褒めているそうです。
特に負けた試合では、良かった点を丁寧に評価した後、〇〇場面で投げた球は、何か意図があったのかと質問をするそうです。
すると、多くの選手は、「調子が悪かった」「球がいかなかった」といった言い訳が返ってくると言います。
言い訳が多いと、次の課題設定がし難いと言います。
また高校生の場合、インコ-スに思い切ってボ-ルを投げれないピッチャ-が多いそうです。
ボ-ルをバッタ-に当ててしまうといった怖さが先行してしまうそうです。
そのため、日頃の投球練習から、思い切って直球でインコ-スを投げたのちスライダ-を投げるといった配球を意識させておくことが非常に大切だと言います。

強豪校と勝負するには、バッティリ-間でピンチを乗り切る配球を意識した練習が重要だと言います。
練習試合後に撮影したピンチ場面の映像を抽出し見せながら意見交換させることで、バッテリ-間の配球の幅が広がってくるのではないかと考えているそうです。
バッテリ-が如何にピンチを乗り越えるのかといった戦略の指導法は監督の経験や勘に頼るところが大きいです。

しっかり投げれたと思ってもヒットになったり、得点されることも頻繁にあるため、ミ-ティングの成果をどのように示すのかが難しいと思います。
スポ-ツ健康科学部で学び、研究していることを現場の指導に積極的に取り入れている金城君から、「こんな練習しているのに成果が出ない。なぜなのかな?」という提案を積極的に示してもらうことが野球を科学するうえで重要だと思いました。