2016.08.16

盆踊りの身体の動き

オリンピック大会が全日程の半分を過ぎて、日本選手の活躍に大変大きな感動をもらっています。
また、オリンピック競技のスポーツ中継では、これまであまり詳しくなかった競技の様子をみることができるのも、また楽しみであります。

先般までのお盆休みで、郷里の四国徳島に里帰りしていました。
徳島のお盆といえば、「阿波踊り」が有名です。一度はご覧になった方も多いかと思います。
私は子供のころより、お盆になると家族や友人といっしょに演舞場や街中で繰り広げられる
阿波踊りをみてきました。ついつい踊りたくなりますが、私は主に「みる阿呆」で、独特のリズムと全身の激しい動きに魅了されてきました。今年もそのリズム(ぞめきといいます)に身に浸しながら、「阿波踊りという動き」について考えてみました。
この阿波踊りは、日本三大盆踊りに数えられる盆踊りです。しかし、我が国の他の地域の盆踊りと比べて、その動きが非常に特徴的であります。まず「手」ですが、リズムに合わせて上下左右に動かします。なかには提灯やうちわなどを持ってこれを激しく動かす場合もあります。この手の動きについては、他の盆踊りに共通するものであるといえます。しかし、その一方で「足」の動きは、手と同じく、リズムに応じて激しいステップ動作がなされます。通常の盆踊りだと、足の動きは強調されることなく、静かに歩をすすめる場合が多いのに比較して特徴的な動きであるといえます。

例えば、国外のフォークダンスなどに目を向けてみると、手の動きはあまり複雑ではなく、むしろターンやスキップ、ホップなどの足のステップ動作が複雑なものが多いようです。こうしたことは、農耕を生活の基盤とし「手」で作物を育ててきた文化と、狩猟を生活の基盤とし「足」で獲物を獲得してきた文化の差であるという主張もあります(大築, 1989)。こうした文化的差異を考えると、阿波踊りは、手の文化とともに、足の文化も併せもつハイブリッドな運動文化であると考えることができます。

しなやかさ、キレなどの微細な動きで創造と情動を示す「手」と、跳ね上げる激しい動きで生命力を示す「足」が合一していることが、阿波踊りを一度見た人を虜にする秘密なのかもしれません。
まだ一度もご覧になっていない方は、ぜひ一度阿波踊りを体験してみてください。




【ken】