2016.09.09

体育会のリーグ戦運営を考える


naoです

8月下旬から各運動部のリ-グ戦が始まりました。
試合日程や試合結果は、各種目の学生連盟HPで知ることができます。

リ-グ戦を管理運営しているのが、各チ-ムが所属する学生連盟(学連)という組織です。
各大学の運動部は、この学生連盟(学連)へ加盟料を支払い、組織の運営をサポ-トしています。
場合によっては、リーグ戦パンフの広告費を負担することもあります。

多くの競技における学連の運営は財政的には厳しく、ビジネスとして成功しているところはほとんどありません。
大きな理由は、広報しても観客収入が見込めないからです。
例えばアメリカンフットボ-ルは、関西の大学スポ-ツの中で興行が唯一成り立つ競技と考えられていますが、関西学生連盟に登録しているすべてのチ-ム(2部や3部)の試合が興行として成り立つものではありません。
広報の仕方が問題だというスポーツビジネスの専門家の意見もありますが、学連は試合を運営することに7割、8割の力を注ぎます。

バスケットボ-ルについてみると、関西で75大学が学生連盟に加盟し、1部から6部までグレ-ドに分かれています。
そして現在行われているリ-グ戦の443試合を、91会場で実施します。
これだけの大会を実施するためには、学連はじめ、各チ-ムが大変な苦労をしています。



観客のほとんどは選手らの友人と父母や各大学のOBですので、1部リ-グの1会場で150~200名程度(チ-ム関係者以外)の観客しか集まりません。
観戦費を徴収すれば収入になると簡単に考えますが、会場の使用料が無料試合と有料試合で異なります。
府県や市の体育館を一日借りると(無料試合)、4~7万円の使用料を必要とします。
ところが、有料試合を実施するとなると25~40万円と6倍以上の使用料を支払うことから、結果として赤字になってしまうのです。

そればかりでなく、試合を実施するにあたり、各協会が認定する高いレベルの審判資格を有する方に審判を依頼することから、謝金(交通費含む)を準備しなければなりません。
よって、連盟としてはできるだけ試合運営に費用をかけないために、各大学の体育館を借りています。
ところが、各大学ともバレ-ボ-ル、バドミントン、ハンドボ-ルや卓球等のチームと共同で体育館を利用していることから、バスケットボ-ル連盟に簡単に施設を貸与することはできません。
そのため、各大学のバスケットボ-ル部は、学内の担当課を回り、さらに共同利用しているチ-ムにお願いし、試合運営するための会場を確保しなければなりません。
そのため各大学の監督や部長らの後方支援は重要になってきます。



リオ・オリンピックで日本選手団の活躍がテレビで取りあげれられています。
選手の多くは、大学選手であったり、大学を卒業し企業スポ-ツで頑張っている選手たちです。
すなわち、日本の競技スポ-ツを大学が支えているから、競技人口を一定数確保することができるのだと思います。
東京オリンピックに向けて、さらに競技力向上が重要だとマスコミ等は簡単に言います。
しかし、大学が各競技団体を支えていることを当然の事とし、学生連盟で頑張っている仲間やその組織を支えている各大学の苦労や実態を報道されることはありません。
もし大学から体育会という組織がなくなれば、日本の競技力は一気に低下すると思います。



2020年の東京オリンピックに向けて、国のスポ-ツ政策はさらに加速していくことでしょうが、今後は各競技連盟をサポ-トしている大学の取り組みを重視する必要があると思います。
競技力の高い大学ばかりが評価されるのではなく、全ての大学がスポ-ツを支援していることを評価するべきだと思います。
私は、コ-チングを学ぶうえで、勝利の手法だけを課題にするのではなく、関わっている競技の組織をどのように発展させるのかも指導者として考える必要があると思います。

大学組織は学生らのマネジメント力に助けられますが、中学校や高等学校では、各競技組織で活動する先生方の支援がなければ、地区大会すら開催できないのです。