2016.09.13

教育委員会との共同研究

これまでのエントリーにおいても、児童の体力あるいは運動能力の向上についての取り組みを紹介してまいりましたが、立命館大学スポーツ健康科学部の【智】先生を中心としたスポーツ教育学研究室では、BKCの地元草津市以外にも多くの教育委員会様と共同で児童の体力・運動能力の向上にむけたプロジェクトに取り組んでいます。

今回紹介するのでは、福岡県北九州市における共同研究の事例です。
北九州市は、人口95万人を抱える政令指定都市で、18歳未満の子ども人口は15万人を超えます(北九州市のHPより)。こうした北九州市の子どもたちの体力の現状については、全国平均を下回っているとのことで、これをなんとか向上させようというところから北九州市教育委員会様より、【智】先生にお声かけがあり、これにスポーツ教育学研究室のメンバーとともに取り組んでいます。

依頼を受けて我々はまず、文科省により全国悉皆で調査・集計されている「体力・運動能力、運動習慣等調査結果」を分析することより始め、向上に向けた強化の柱を決め、それらを推進していくための具体的な手続きについてアイディアを出し合い教育委員会様へ提案いたしました。
教育委員会様ではこれらの提案をさらにブラッシュアップした上で、今年度の開始早々にこれらの施策を徐々にスタートされております。まずは、全市の小・中学校の体育科および保健体育科の担当の先生がたへの連絡とその具体的方法の伝達、また先生方ご自身にもプロジェクトに携わってもらうことで、全市的な取り組みの気運を高めていくことから始められております。先般も小・中の先生方が各グループに分かれて、体力を向上させられることのできる運動プログラムの開発に非常に積極的に取り組まれていらっしゃったとのご報告もいただいております。


このほかにも、体力向上に資する効果的な多様な取り組みが、教育現場の先生方の実感をもとにした意見と、研究者による協力が有機的に連携しながら、進められています。先日、こうしたものを網羅的にまとめた「体力向上プログラム(第2版)」(下図)を作成されたとの連絡をいただきました。
このプログラムにより、今後北九州市の児童の体力がどのように変容していくのかについて大いに気になるところですが、それとともに、1つの大きな市の教育的施策をどう隅々まで行き渡らせ、その効果を確実なものにするのかについての教育委員会の方々の進め方についても、大いに勉強させていただいているところです。

また、これらの研究成果についても、ある程度まとまりましたら、学会誌等へ随時発表していきたいと思います。


(北九州市教育委員会様より表紙掲載の許可を得ています)



※追記
先般、スポーツ健康科学部では、FD(Faculty Development: 大学教員の資質改善・開発)研修会が行なわれました。カリキュラムに関する議論、入試等の教育制度に関する議論、さらには、学部の広報活動に関する議論等、多様な視点から、グループワーク、ブレインストーミング、ディスカッションにより、日々の教学についての点検と改革可能性についての議論が非常に積極的に行なわれました。このような教学についての熱い議論もまた、スポーツ健康科学部を強くする、いわば【Fの力】になるのだと改めて感じました。



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