2016.10.09

日本肥満学会でハワイでの研究を発表しました

第37回日本肥満学会が東京ファッションタウンで開催されました。
今回は2日目のシンポジウム7「骨格筋からみた肥満症の病態と治療」
にて「サルコペニア肥満の診断と体力及び生活習慣病発症リスク」をテーマに発表しました。

サルコペニア肥満は筋量低下と肥満が合併した状態で
サルコペニアや肥満単独よりも生活習慣病発症リスクを高める可能性があります。
しかし、これまでの研究では、サルコペニア肥満が生活習慣病発症リスクを高める
という報告と関連性がみられないという報告があり見解が一致していません。
これは、サルコペニア肥満の評価方法が統一されておらず
診断基準にコンセンサスが得られていないことが原因と考えられます。
また、75歳以上の高齢者では肥満は死亡リスクに対してむしろプラスに影響する
オベシティパラドックスも確認されています。
つまり高齢者では太っているほうが長生きするということです。



今回、ハワイ大学との共同研究で行った研究結果においては
BMIで規定した肥満では死亡リスクとの関連性は見られませんでしたが
体脂肪率と腹囲で規定した肥満は、死亡リスクを減少させる
つまり、肥満の方が長生きするという結果でした。
これまでは、オベシティパラドックスの原因は高齢期の体重減少が
関係すると考えられていましたが、
今回の結果を見るとBMIで規定した肥満に関連性がみられなかったことから
オベシティパラドックスは体重減少が原因ではなく、
体脂肪そのものに死亡リスクを減少させる要因を持っている可能性が考えられます。

さらに、被験者をノーマル、サルコペニア、肥満、サルコペニア肥満の4群に分類し
死亡リスクを比較した場合、サルコペニアはどの肥満基準においても
死亡リスクを増加させましたが、サルコペニア肥満は腹囲で規定した場合のみ
有意に死亡リスクを増加させました。
この結果から、高齢者でサルコペニア肥満を評価する場合は、
肥満の評価指標として腹囲が最も重要であると考えられました。
この結果は、Journal of Gerontology Series Aに投稿する予定です。

Good day !

sana