2016.10.12

鹿児島の地で“想う”

今月はじめにさかのぼって… 鹿児島に出かけてきました。もう10月で、関西は涼しくなってきたというのに、鹿児島はまだ真夏の気温を記録中でした。

九州出身の私ですが、鹿児島大学は初めての訪問でした。大学の中には、稲盛通りがまっすぐにのびていました。あの、京セラやKDDIの創業者である稲森和夫氏のご出身ということだからでしょう。

稲盛通り

出かけたのも、その稲盛和夫氏の基調講演を含めたシンポジウムが、鹿児島大学稲盛アカデミー主催で行われたからでした。2009年以来の母校での講演という、稲盛和夫氏の基調講演の後、日本の著名な先生方によるパネルディスカッションが行われました。

学部学生や院生、教職員がホールを埋め尽くしている中で、「“考える”よりも、自分が心にどのようなことを“想う”かが非常に重要だ」というお話をされました。それが、人間性を養うことにもつながると。これが、生き方、考え方なのだと。

講演後は予定時間を超えて学生の質問を受けられ、なかなかいい味の掛け合いに、会場も盛り上がりました。

(稲盛経営哲学研究センターの紹介とともに、センター長から「何を研究し教育するか」の話題提供中)

いま、立命館にも稲盛経営哲学研究センターが20156月に開設され、稲盛経営哲学を学際的、国際的に研究し、その成果を発信しようとして取り組んでいます。私も、周囲の方の支えのもとでそのメンバーに加わらせて頂いており、いろいろな分野・大学・企業の方々と一緒に活動することができています。学生にも、リーダーシップや組織について、もっともっと研究レベルでも関心をもってもらえることを願っているところです。

今回鹿児島に出かけたことで、稲盛氏ともほんの少しでしたがお話しをさせて頂く機会に恵まれ、「心理を勉強している」とお伝えすると、すぐに握手をしてくださいました。これまでの稲盛氏の取り組みを重ねると、どれほど人の心というものが重要で、そこに人々の関心が寄せられることを願っておられるか、その握手の一部始終に反映されているような気がしました。このような反応をされた経営者/リーダーの方は、私は初めてでした。

社会の中で、短期的な成果を求めれば求めるほど、なぜか心理は地味な分野になっていきます(成果にすぐには結びつきにくそうな印象だからでしょう…)。そういうときでも、心が健やかな状態で居続けることができるように土壌をつくり、大学にいる人間だからこそできることを地道にやっていきたいなと、鹿児島の地で桜島を見ながら思いました。

ippo