2017.02.06

スポーツパフォーマンス研究

 2月1日に行いました、国立スポーツ科学センターとのシンポジウムで、トップアスリートをサポートしている、先生方から現場目線ならでは、のお話しを聞くことができました。サポートで大事なことは、①キーパーソンを見つけること、②経験を生かす、③プロフェッショナル、である。そして、サポートの醍醐味は、「ドラマに立ち会うことができる」。スポーツはまさに瞬間、動的な芸術とも言えます。その劇的な瞬間に立ち会えることができ、かつその背景までみることができるアスリートサポートは、素晴らしい仕事です。

 先日、幕張メッセで開かれた、スポーツパフォーマンス研究シンポジウムに参加してきました。こちらは、『トレーナー現場での実践知を発信するパフォーマンス研究』がテーマでした。


 前半は、リオ・オリンピック、400mリレーの銀メダリストの飯塚選手(ミズノ)、コーチの豊田先生(中央大学)、研究者の松尾先生(鹿屋体育大学)による、フォーラム形式の発表でした。飯塚選手のデータを研究者がとり、結果を選手、コーチへフィードバックを行い、選手が自らの感覚(主観)も交えてレース戦略、トレーニング方法に取り入れている様子を興味深く聴くことができました。まさにスポーツパフォーマンス研究のひとつのあり方を示してもらいました。

 後半は、スポーツパフォーマンス研究の具体的な進め方について、研究者、現場のトレーナーの声にもとづいて議論が進められました。その中で、この間、スポーツ科学研究も他の研究と同様に、エビデンス・ベースド・サイエンスが中心となって知見が積み上がってきている。その一方で、トップアスリート、あるいは個別事象を取り扱うことについては限定的な見方がされてきている。そこを踏み込んで、現場研究にまで引き上げていく必要がある。

 いわば、医学の中でも、近年、ナラティブ・ベースド・メディスンといわれるように、患者が自分の痛み、身体の変化などを語るのを十分に聞いて、対話を通して問題解決にむけた新しい物語を作り出していく医療の重要性が指摘されています。もちろんエビデンス・ベースド・メディスンと合わせて、相補的に使われるのが望ましいのは言うまでもありません。

 つまり、スポーツ科学研究のひとつとして、ナラティブ・ベースド・サイエンスがあっても良い、というスタンスがスポーツパフォーマンス研究の立場である、という説明を聞きました。確かに、トップアスリートのn=1のデータではなかなか通常の科学雑誌の対象にはならないが、そのようなデータも切り取り方によって、スポーツパフォーマンス研究として取り扱う、ということを学ばせてもらいました。

<<今週のちょっと、もっと、ほっとな話>>
本日です!
2月6日(月) 14:00-17:00/意見交換会17:30-
「Integrative Physiology of Sport and Health Science」 国際シンポジウム
ローム記念館
https://www.ritsumei.ac.jp/file.jsp?id=302273

今週末です
2月11日(土・祝)8:00~17:40
2016年度後期:スポーツ健康科学研究科 修士論文公聴会
インテグレーションコア1F アカデミックラウンジ
https://www.ritsumei.ac.jp/file.jsp?id=318409

2月24日(金) 13:00~17:15
立命館グローバル・イノベーション研究機構(R-GIRO)
「グローバル社会における特色ある研究拠点の創成を目指して」
フォレストハウス2階
研究拠点の成果報告ならびに、木南先生(順天堂大学)による
オートファジーと健康に関する基調講演
「健康維持は死ぬまで自転車操業-タンパク質は壊されないと生きられない-」もあります。
https://www.ritsumei.ac.jp/rgiro/db/event_symposium20170224.pdf

立春にとった牟礼山からの写真です。比良山系はまだ雪が積もっています。
 
【忠】