2017.06.03

運動がすべて?!

身体活動というと、運動やスポーツ、体育の授業、クラブ活動などイメージすることは人によって違いがあるかも知れませが、これらの活動が精神的な健康に果たす役割について、引き続き述べたみたいと思います。これまで、スポーツ心理学の分野ではスポーツの精神衛生学的な価値として、①社会的安定感と自発性の増大、②独立性の発達、③緊張の解消、④友情、人望、リーダーシップの基礎の形成、⑤自己に対する価値観の発達などが指摘されてきました。しかしながら、スポーツを行って来た者にとっては、あり得る事象であり、またあって欲しい事象であります。しかし、なかなか実証的な研究となると難しい面があり、特にメカニズム研究となると方法論上の限界もあり決して多くはないように見受けられます。


そんな中、つい先日デジタル・ニュースで岡山理科大理学部研究チームが、”うつ状態のマウスでHSP「105」というタイプのたんぱく質が脳内の一部(主に海馬、大脳皮質と思われますが)で減少しており、この「脳由来神経栄養因子(BDNF)」というタンパク質の量を増やすことで、うつ症状を抑えている仕組みも突き止めた”ことが記されておりました。重要な点は、運動がBDNFの発現を亢進することから、運動→BDNFの亢進→うつ症状の改善が成り立つことです。
運動の生理生化学的メカニズムを背景に精神的健康のための運動の効用を強調するならば、不安や恐怖などの軽減、とらわれ感からの解放、感受性の高まり等々、心の主体性を回復し、生を深めることにつながると言えるかと思います。(老ブロガー・ハル)