2017.09.17

PhD defence(その1)

先日はコペンハーゲン大の博士後期課程の院生の口頭試問(PhD defence)がありました。 
完全に一般公開で実施するのですが、とても興味深い設定でした。 

審査を受けた博士後期課程のRasmusは医師でもあります。 
コペンハーゲン大のPh.Dプログラムは3年間で構成されています。 

デンマークでは基本的に博士論文はデンマーク語ではなく、英語で執筆します。さらに、博士論文自体の執筆には院生自身が責任を持って執筆・編集することになっていて、学内の教員である主査(Dr. Kjær)と副査(Dr. Holm)はほとんど細かな内容の修正は指導しないそうです。 



(博士論文は冊子としてカバー付で書籍のようにまとめられており、口頭試問の当日には、参加者”全員”に配布されます。) 

では誰が博士論文の指導を行うのか、ということになりますが、ここで学外審査員の出番です。学外審査員は”opponents”(議論の相手?)と呼ばれており、執筆された論文を細かくチェックした上で、必要に応じて修正を指示します。 

コペンハーゲン大学のDr. Dela以外に、南デンマーク大学のDr. Caserotti(イギリス人)とバーミンガム大学のDr. Greig(イタリア人?)は共にデンマーク語を話しませんので、二人の先生方とは執筆のやりとりも全て英語になります。 

このメールでの博士論文のやりとりが一般的に言われる、博士の学位を取得するための最初の審査(事前審査)となり、全てメールベースで行われます。大半の場合、最初の執筆でOKが出ることはほとんどなく、学外審査員が一旦 reject(否認)としたうえで、大幅な修正を加えた後に博士論文を再提出(場合によっては複数回のやりとり)となるそうです。 

今回のRasmusの博士論文は2つの研究プロジェクトから構成されていますが、そこから3本の学術論文を別途執筆しており、そのうちの2つは既に国際雑誌に掲載されている質の高い研究プロジェクトです。 



晴れて全ての修正が承認されれば、口頭試問・公聴会がスケジュールされます。 
口頭試問と公聴会については次回、また詳細にご報告します。 

satoshi 


写真のSøerne (The Lakes)はコペンハーゲン市内にあり、3つの池が繋がっています。
もともとは貯水池として利用されていたようですが、今は池の周りをジョギングや散歩で利用する方が多いようです。