2017.10.11

来年3月に向けて…地域が動く!

スペイン・バレンシアも秋色になりつつあります。
週末は、大学が完全閉鎖になりますので(週末は楽しもうよ~の精神なのでしょう)、あてもなく街中を歩いていると、ときどきおもしろいことに出会います。

この日最初に出会ったのは、ココ。いかにもスペイン!という光景です。

このおじさんと話をしていると、関係者が集まってきて道具を持たせてくれたり、パエジャの中にムール貝を入れる経験や写真撮影をしてくれたりと、親切てんこ盛りでした。

さらに話をしていると、建物の中に入れてくれました。その理由は、第2弾のムール貝を食べてみよ、と。ここバレンシアのムール貝は「クロチーナ(バレンシア語)」と呼ばれています。ちょっとしたブランド力があり、8月ころまでが旬だそうです。でもこのあたりは、近くに中央市場があるからか、秋口に入った時期でも出してくれることがあります。かなり小さめですが、中身の詰まった、味わいのあるクリーミーなムール貝でした。地域に、食材に、とても誇りを持っているようです。

てっきりバル/レストランか何かだと思って、「何時にこの店はオープンするのか?」とたずねたら、ちょっと来い!と。戸惑っていると…第3弾は、建物のさらに中に入れてもらうことができ、そこは、グループ内のFalla(火祭り:ファジャ)歴代女王たちの写真が飾ってある空間でした。つまり、ここはバルではなく、バレンシアで3月に盛大に行われる「火祭り」のためのグループ(街全体には、300以上400近く?のグループがあるそうですが、その一つ)の集会所だったようです。
(エプロンの文字Fallera:民族衣装を着た女性たちのことを言います)

3月の「火祭り」のときに張り子の人形を、各グループで制作し展示すると聞いています。それなどにかかる諸々の資金を集めるために、このような食事会でいろんな人をもてなす等、準備の一環というわけです。グループによって雰囲気はどうも違います。同じ土地でありながら、おもしろいです。

その翌日の日曜日。
街のなかを、それはそれは豪華なドレス・民族衣装を身にまとった女性たちが行進(見るからに高そう…実際かなり高いらしいです)。この行進も3月の火祭りに向けた準備の一環とのこと。それが【表紙の写真】です。きれいな公園に行くと、写真撮影のために来ている彼女たち数人にばったり出会えることもあります。

ラ・ロンハ・ラ・セダという世界遺産の建物もこのすぐ近くにあります。15世紀ころに建てられ、「絹の商品取引所」だったところです。中心街に行くと特に、絹などの手芸用品やドレスのお店もかなり多く立ち並んでいるのですが、これも火祭り、この女性たちの伝統衣装と関係しているのでしょう。地域の各種産業が、互いに密接に関連して成り立っているようです。

1つの出会いから、言葉や歴史・文化、食、産業、年間行事、人の生き方…まで広がっていきます。いつまでもこの土地には慣れること「なく」、見聞きしていきたいものです。

火祭り本番(私の想像をはるかに超えているよ、と言われていますが)の様子は、来年3月にまた、もう少し詳しく、正確に理解してお届けできればと思います。

ippo