2018.02.23

男女の友情、ありかなしか?

以前、リーダーシップ論の質問コメントにこんなものがありました。

「先生は、男女の友情は成立すると思いますか?」

…リーダーシップ関係ねぇ!と思わず突っ込みましたが、大学生らしい率直な質問でこれはこれで心理学への興味のきっかけとしてはアリなのかなと微笑ましく思いました。なのでまさかのブログでお答えします。

(以下、参考文献は越智啓太先生の「恋愛の科学」 (2015年実務教育出版)です。)

友情と愛情の違いは社会心理学で研究されています。
「友達としての好意」と「愛情としての好意」を測定する尺度(love-liking尺度)がありますので、この2つを測定して相関係数を出せば、どのくらい友情と愛情を混同しやすいかを数値で表せるというわけです。

1970年にはすでにこのような研究が海外で行われており、男性はr(相関係数)=.60、女性はr=.39という結果が出ています(Rubin, 1970)。
一方、日本の研究結果(越智, 2015)によると、男性r=.622、女性r=.617だったそうです。つまり男女ともにr=.62ですね。
男女差がなくなっているのは不思議ですが、相関係数が.60を超えると言うのは結構高い値なので、やはり友情と愛情は性別にかかわらずそこそこ混同されやすいものなのかもしれません。

なんだか週刊誌的な話題のようにも見えますが、職場の問題の上位には必ず人間関係が入るので実はけっこう重要な話です。
たしかに、圧倒的に同性の少ない職場で働く身として、男性(とくに既婚の方)との関係は気を使わないといけないのかなぁと思います。
あんまり親しくなりすぎると変な噂が流れたり、奥様やパートナーの方に要らぬ心配をかけたりしそうだし、かといって同僚としては仲良くなりたい気持ちもあるし…
井戸端会議でゲスだなんだと茶化して笑いながらも、職場での男女の付き合い方ってもっと深刻に取り組むべき問題なのだろうなぁ…

……と、そんな真面目に考える私の葛藤を一蹴するような同僚・S村先生の一言。

「ところでHitomi先生、我が家で焼肉パーティしませんか?僕、料理作りますんで、その間うちのDVDで嵐のコンサート観ててもらっても大丈夫ですよ!奥さんも娘も大歓迎です!」

すごい。ゲスからは程遠い、クリーン&オープンな友情を感じる……!!
確実に無相関。Likingの天井効果。

学生よ、さっきの問いに答えよう。どうやら私の場合は成立するようです。

『既婚の同僚男性のお宅にお邪魔して、ご家族と一緒に手料理を食べてジャニーズのDVD観て帰ってくる独身女性ってどうなんだろう…?』と首をかしげつつ、お言葉に甘えて行ってきました、S村家。



相変わらずお子さんは可愛いし、奥様は美人で面白いし、料理はおいしいし、なんかもう色々とどうでもよくなってかなりエンジョイさせていただきました。ちなみにポテトサラダはS村先生の手作りです。ふわっふわでとろけるような食感でした。



お昼から琥珀色の液体、失礼しまーす。

「男女を超えた友情」という言葉には正直うさん臭さを感じてしまいますが、性別や立場を認識したうえで互いに尊重し合えば、どんな相手とだって友情は成立するんだろうなぁ…なんて思いつつ夕日の揺れる琵琶湖線を後にした某日でした。

S村先生だけじゃなく、スポ健の先生方は本当に仲良くしてくださって助かります。良い職場に恵まれたことに心から感謝です。

Hitomi