2018.03.07

Ba-Na-Na

3月になり、バレンシアは爆竹シーズンに入りました(この話は次回あたりに…)。
弥生の月までバレンシアで過ごしたのかぁ…と、しみじみ思うことが増えてきました。この土地で暮らす中で、私を悩ませてくれたスペイン語の単語や発音は数知れず…。その一つは、一見シンプルな単語「バナナ」です。

現地に来たばかりの頃、バナナの単語を覚えるのにも苦労し、カフェテリアのおばちゃんが、発音はこうよ!と教えてくれて、素早く忘れると、傍で食べている院生たちが繰り返してくれたのを思い出します。市場に行くと、姿は同じバナナですが、札に書いてある文字が違って混乱していました。教えてもらった単語 ”バナナ” は、いったいどこの言葉か?公用語が複数ある国だからか?どれを使うのが一番通じやすいのか、と。

どうやら、市場の場合は、複数の公用語を使い分けているというよりは、普通にそのまま食べるバナナ用、料理用の区別がしてあるようです。それぞれの中にはまたいくつか種類があり、お客は用途・好みによって買い分けている、というわけです。
(表示にいろいろな表現が…右下にりんごFUJIも見えますか?)

地域によってPlatanoの登場率が違っている他に、Platanの方がBananaよりも、なぜか、キロあたりの値段は(どこのお店に行っても)高いのです。Platanoの方が美味しいからという人もいますが、実際のところはどうなんでしょうか(食べ比べはまだできていません)。

トマトも同じように、サラダ用、バケットに合わせる擦りトマト用と分けてあります。赤黒い色のトマト、いびつな形なのにとても味のよい品種のトマトなど。元気に、陽気にしてくれるものが、市場にたくさん並んでいます。
(下の真ん中:突如、街中に現れることがある巨大オブジェ…移動することもあって不思議な存在)

品種とその表記ともに、その並べ方にも拘りがみえます。芸術的にディスプレイしたお店もありますし、実に丹念に、並び上げたお店もあります。日本には日本流の、さりげなく美しく見(魅)せる工夫がなされているように、スペインにも、元気に明るい生活空間になるように見(魅)せる工夫が、生活の中に根付いて存在します[クリスマス時期になると、朝早くに、あちらこちらにポインセチアを一株ずつ植え込んで回っているのには驚きました]。ひと手間の一つ一つが、“陽気な国・地域” に見(魅)せるのに貢献しています。それが文化なのでしょうね。

ここに来て、「言葉を理解すること」が、「その土地や人の考えを理解」し、「お互いの情報交換を円滑にする」と実感します。それぞれを促すのは、「コミュニケーションをどれだけとるか」ということも。
実は、このことが最近の論文で報告されていて、とても納得しました。興味のある方はどうぞ!

【参考文献】Peltokorpi, V., & Yamao, S. (2017). Corporate language proficiency in reverse knowledge transfer: A moderated mediation model of shared vision and communication frequency. Journal of World Business, 52(3), 404-416.

もしそうだとすると、言葉を理解し使いこなすまで(慣れない間)、いかにコミュニケーション量を増やすのか?は、次なる課題になりそうな…。

ippo