2018.04.01

修士課程のインターンシップ



オランダも冬は雪が降ります。ただ、今年は雪が積もっても翌日には溶けてしまう事が多く、雪景色を楽しめるのは一瞬です。

さて、今回はインターンシップについてご紹介します。オランダの修士課程における研究活動はスポ健とは大きく異なることが幾つかあります。

マーストリヒト大学のDepartment of Human Biologyでは、修士課程の大学院生は「インターン」として約6カ月の間、博士課程の院生に張り付いて研究のサポートを実施し、その経験に基づいて修士論文を書き上げます。
マーストリヒト大学ではこれを「インターンシップ」と呼ぶようです。

スポ健の場合は修士課程の院生が独立してそれぞれプロジェクトを立ち上げることが多いかと思いますが、Dr. van Loonの研究室では基本的には独立した研究プロジェクトを実施するのは博士課程の院生の役割となっています。
インターン修士課程の院生の数が10名を超えることもあり、1人の博士課程の院生に対して2〜3名の修士課程の院生が張り付くことになります。

博士課程の院生にとっては知識レベルの高い修士課程の院生がサポートに入ってくれることで研究の実施がかなりスムーズにはなりますが、同時にインターンの修論を書き上げるサポートもその担当の院生が全て請け負います(その結果、指導教員の作業量はぐっと減ります)。

これも博士過程の教育カリキュラムとなっているようで、博士課程の院生はインターンへの研究指導を通じて教育力やリーダーシップ能力を向上させていくのです。

ちなみに博士課程の院生はほぼ独立して臨床試験を独立して実施することができます。採血などの医療的行為は日本では看護師さんや医師免許を持つ先生など、資格を有する方による実施が法的に定められていますが、オランダでは院生が一定のトレーニングを受けると各自が研究実施の範囲内で採血を行うことが許可されています。



筋組織を採取するバイオプシーという試技も以前は博士課程の院生が実施していたようですが、現在は医師免許を有する博士課程の院生が全ての実験のバイオプシーを実施しています。

僕もアメリカにいた時はテキサス州ではポストドクターとしてバイオプシーの実施が許可されていましたが、こういった臨床実験における安全基準の設定や状況は国ごとに異なり、また同じ国内でも大学によっても異なるようです。
効率性と安全性のバランスだと思いますが、明確な議論も難しいトピックです。

さて、担当の院生は被験者のリクルートから被験者への事前説明、実験の実施からデータ管理、そして学外から定期的に第三者機関による監査が来た際のモニタリングへの対応など、同一実験に関わる全ての作業を全てこなします。
このように研究に関わる一連の作業を全て経験することで、その研究分野に関する深い知識とスキルの獲得が可能となります。

ただ同時に特定の分野のみにすべてのエネルギーを集中してしまうため、ときには他の分野に対する興味を失いがちになります。
そういった意味でも毎週行われている研究室内のミーティングでそれぞれの院生の研究に関する情報を共有し合うことが重要となります。

satoshi