2018.06.23

本物を見る重要性


先週、国際平和ミュージアムに訪れた際、
ボランティアの方から、
インターネットでなんでも検索できる時代に、
過去にあったものを自分の目で見て確かめてほしいというお話があったことを記しました。

私は、博士論文の原稿に、トップに、
「学問をしてゆくに、実物を能く観察して、実物を離れずに、物の理法を観てゆくと云うことは、何よりも大切なことだ。
どれ程理論が立派に出来上がって居ても何所かに、実物を根底にする真実性が含まれて居なければ、
即ちそれは空論だ、空学だ。取るに足るものではない 會津八一」という言葉を貼り付けていました。

會津弥一博士(文学)は新潟県生まれの歌人、書家など様々な顔を持つ早稲田大学の教員でした。
正直私もその程度しか知りません。
なぜ、會津弥一博士に興味を持ち始めたのかというと、
會津弥一博士が、大学機関に図書館の設置をするのと同じぐらい博物館を置くことの重要性を主張していたと知ったからです。
すなわち、学ぶ上で本物を見ることの重要性を説き、
自費で実物の資料を購入し、また日本出始めて学生を率いて実習旅行を行ったとされています(早稲田大学 會津八一記念博物館HPよりhttps://www.waseda.jp/culture/aizu-museum/)。

私が、スポーツを対象に研究の道を志した理由の一つとして、「今この時代を生きているから」と感じたからです。
すなわち、研究の対象としているスポーツは、時にリアルタイムで、実物をみることができます。
私の場合、博士論文書くことだけが目的になってしまって、恵まれた実践の場をおろそかにしないように、
また、恵まれた環境を活かす研究をするという使命感に似た気持ちによって、冒頭の言葉を博士論文の原稿に貼り付けていました。

現代、ありとあらゆる情報が簡単に手に入る中、あるいはたくさんのスポーツに関わる現場がある中、
適切な情報と環境を選択していく力も必要です。
時に間違うこともありますが、本物に触れ、本物を見続けることで
本物を見る目と力は養われていくのではないでしょうか。

會津弥一記念博物館は、
横山大観と下村観山の合作「明暗」という直径4mもある日本画を所有しています。
「早稲田ウィークリー(2011年5月19日掲載)」によれば、
「明暗」は「大学で学ぶことによって暗闇から明るい世界へと進む」という意味が込められているそうです。

先週の平和ミュージアムを訪問し、博士課程にいるときに
時間を見つけては會津弥一記念博物館に通っていたことを思いだしました。


写真は會津弥一が学生に向けた自筆の「学規」
引用:新潟市 會津八一記念館HPより http://aizuyaichi.or.jp/


#スポーツは現在進行形
#だからこそ理論も大切
#理論と実践+本物を見抜く力を
#記念博物館そのものが美しい
#「明暗」は常設ではありません