2018.11.12

バイオメカニズム学会

昨日、一昨日と筑波大学で開催された
第39回バイオメカニズム学術講演会に参加してきました。
   
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工学系、医学系、スポーツ科学系など広い分野の研究者が集まって、ヒト、動物の動きのメカニズムを追求する学会です。

産総研に異動されたF雅先生にも会場で会えました。

今回のオーガナイズドセッションで、N=1 を対象とした発表がありました。いわゆる、特徴的な奨励を扱う研究です。例えば、トップアスリート、世界一のアスリートは、その種目では一人しかいませんので、多くのN数を集めることができません。むしろ、そのN=1に特長があり、その特長を突き詰めることも、研究として興味深いものである、という観点でセッションが組まれました。

 その中で、四肢麻痺を発症したチンパンジー・レオの研究(京大霊長類研究所)がありました。突然、四肢が動かなくなったチンパンジー・レオ君は、10ヶ月間寝たきり。通常なら、その時点で安楽殺になるが、研究所ではその後も世話をします。その間、寝たきりのため褥瘡が背中を中心に多数生じる。ただ、10ヶ月後からすこしずつ上肢が回復し、動けるようになると褥瘡が消える。さらに機能が回復し下肢も使えるようになり、動くことが身体にもたらす効果を映像などで紹介されました。
このようなチンパンジーのリハビリは、世界初のことであり、人間のリハビリ、補助装具なども活用したとのこと。寝たきり発症から10年が経過し、すっかり身体的には回復したレオ君ですが、現在も集団から離れて、一人での生活。お友達と柵ごしで、やりとりは始めていますが、シャイになったり、びっくりしたり、まだ心理面では、集団には戻せない状況のようです。チンパンジーは、序列の厳しい集団生活。とりわけ雄にとってはよけいに。
レオ君の完全社会復帰は、もうしばらくかかりそうですが、何らかのきっかけによって上手くいくのではないかと期待しています。そのきっかけは人間社会でもヒントになる、と今後の研究成果が楽しみです。

 学会では次のシンポジウムがありました。
『突き抜けた世界へと至る道:平昌オリンピック金メダル獲得に向けた活動』
演者:結城 匡啓(信州大学)
   高橋 佳三(びわこ成蹊スポーツ大学)
   谷川 聡(筑波大学)
指定討論者:小平 奈緒(社会医療法人財団 慈泉会 相澤病院)

スピードスケート、金メダリスト・小平 奈緒選手をサポートしてきた指導者、研究者によるシンポジウムで、最後に小平選手からの指定発言もありました。
詳しいことはかけないのですが、小平選手をサポートしてきたコーチ、指導者たちの科学的かつ個別的なサポートの成果を伺うことができました。小平選手の指定発言、質疑応答は見事でした。意識の持ち方を質問させてもらいましたが、「意識をする、と一つか二つに集中してしまう。むしろ、意識を通わせるという考え方です」と回答いただきました。
禅問答のようですが、小平さんの中では、すっと落とし込める感覚なのでしょう。トップアスリートの感覚、視野、視界、哲学を感じました。

<<今週のちょっと、もっと、ほっとな話>>
  
 先週、嬉しい訪問がありました。学部1期生の明子さん、スポ健事務室でGATプログラム開設に尽力してくれた環さんが、研究室に来てくれました。卒業生の元気な顔、出産間近の職員さんの嬉しい顔。なぜか、スポ健の未来は明るいと確信できました!

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【忠】