1975 京都大学薬学部 卒業 1980 京都大学大学院薬学研究科博士課程後期 満期退学 1980 薬学博士 取得
大学では基礎研究を行っていましたが、研究の方法を修得できたと思います。 その経験があったため、行政の現場でも常に何が問題で、その解決のためにはどのような研究が必要で、出てきた結果をどのように解釈するか、それをどう使うかを考え、実行してきました。 行政から大学に移ってからも、行政での経験のなかで、なぜこのようなことが起こるのかと思う機会の多かった医薬品の安全性問題を研究テーマにしています。
医薬品安全対策に関するレギュラトリーサイエンス研究
医薬品開発はレギュラトリーサイエンスの考えのもとに非臨床試験→臨床試験→市販後安全対策という方法論が組み立てられてきています。しかし、現状では、副作用の発生をすべて予測できるレベルには至っていません。 医薬品の承認申請資料、市販後の副作用データベースを調査して、各々の副作用の特徴、どの段階で予測できたかなどを明らかにし、今後の改善点を検討しています。
大学院を出てすぐに厚生省に入省しましたが、行政の仕事は科学的な思考と法律の論理とが必要とされるところでした。 食品や医薬品の規制を担当し、発生するいろいろな課題を目の前にして、いかにしてそれを予測・評価するかを経験するなかで、レギュラトリーサイエンスという考えに出会いました。 食品、医薬品など国民が身近に接するものに対する安全性の問題は、行政だけで処理する時代から国民も含めた関係者全員が情報を共有し、対策の検討を行う時代に変化してきています。 このようななかで、医薬品の安全対策は、まだまだ改良の余地のある分野で、公開されている膨大なデータを活用して新たな方法を模索する必要があると考えています。
得手を伸ばして社会でどのように活躍できるか考える
人と化学物質のかかわりを学べるのは、薬学の特徴であると思います。 化学物質中心だった従来の薬学教育から、人も知ることのできる現在の薬学教育を最大限享受してください。 そのなかで、得手不得手が出てきてもそれは仕方のないことです。得手を伸ばして社会でどのように活躍できるか考える時間は十分あります。 卒後の薬剤師の活躍場面は意外と広範囲です。ぜひとも学内外の人たちとも積極的に交流して、自己形成をしてください。