京都薬科大学薬学部生物薬学科 卒業 奈良先端科学技術大学院大学バイオサイエンス研究科細胞生物学専攻博士前期課程 修了 奈良先端科学技術大学院大学バイオサイエンス研究科細胞生物学専攻博士後期課程 修了
研究者になったきっかけは3つあったように思います。 1つ目は、小学生になって初めて読んだ本が「マリー・キュリー」の伝記だったことです。それ以降、お医者さんや獣医さん、宇宙飛行士など、いろいろな将来の夢の中に、必ず「研究者」は1つの候補として入っていました。 2つ目のきっかけは、私が中学生の頃、利根川進先生がノーベル賞を受賞されたことです。それまで、学校で習う生物はあまり好きではなかったですが、利根川先生をきっかけに、生命のしくみを分子レベルで解き明かす分子生物学という学問があることを知りました。これ以降、生物学の研究者になりたいと思いました。 3つ目のきっかけは、大学3年生の時に、当時、奈良先端大にいらっしゃった貝淵弘三先生に、培養細胞が動く様子を撮影したライブ画像を見せてもらったことです。細胞が動く様子を見て、「細胞は生きている!」と無条件に感動しました。動く細胞のメカニズムを知りたいと思い、細胞生物学の研究者になろうと思いました。忘れられない出会いです。
細胞機能のシステム制御原理を明らかにする
細胞機能は細胞内の多数の分子の相互作用によって制御されています。私たちは、これらの複雑な分子ネットワークが構成する「システム」がどのような制御原理に基づき、細胞機能を制御しているか明らかにすることを目指しています。
細胞は生命の基本単位です。細胞を理解することで、「生命とは何か」という大きな問の答えに少しでも近づければと思っています。 私たちの体は多くの細胞が集まってできていますが、細胞は1つでも動いたり、形を変えたり、分裂したりとさまざまな細胞機能を示します。このような細胞機能を実行するには、たくさんの細胞内の分子がそれぞれ適切なタイミング、適切な細胞内の場所で、うまくはたらくようにコントロールされなければなりません。しかし、脳のような中枢機能をもたない単細胞の中で、どのようなメカニズムによって、多数の分子が細胞内全体で調和したはたらきができるように制御されているかはよくわかっていません。私たちは、さまざまな細胞機能の制御原理を調べることで、細胞全体で分子が調和したはたらきができるように制御するしくみを明らかにしたいと考えています。細胞内分子ネットワークは複雑でも、これらが構成するシステムの制御原理は、さまざまな細胞機能いおいて、共通していてシンプルなものなのではないかと思っています。
大学では、自分から動いて、たくさんの良い出会いを得て欲しい
すでに、やりたいことが見つかっている人は、それに一歩でも近づくように、どんどんチャレンジして欲しいです。まだ、やりたいことが見つかっていない人は、大学時代に、好きなこと、夢中になれることに出会って欲しいです。 私は大学3年生の時に、どんな研究をしたいかわからずにいました。そこで、さまざまな大学の研究者の先生方に連絡をとって、研究室を見学させてもらったり、先生方からお話を聞いたりしていました。今になって思うとお忙しい先生方がよく、急に連絡してきた大学生の相手をしてくださったなと冷や汗が出ます。でも、一流の先生方はまだ若い学生だった私にとても熱心に研究を語って下さり、研究者になるためにどうすれば良いか、真剣にアドバイスしてくださいました。 若い皆さんの将来には無限の可能性が広がっています。大学では、自分から動いて、たくさんの良い出会いを得て欲しいです。私もそのお手伝いが少しでもできれば嬉しいです。立命館大学は自由でアットホームな雰囲気の大学です。学生の皆さんがいろいろなことにチャレンジできる環境があると思います。