卒業研究のテーマ

・「食の安全・安心」を目指した食品分析学の創出
・認知症などの神経疾患の早期診断を目指した代謝物の網羅分析
・腸内細菌叢や病理学への応用を目的とする微量分析法の開発
・安定同位体培養法による質量分析への展開
・高速向流クロマトグラフィーの応用研究
・公衆衛生や医薬品の品質管理を目指したレギュラトリー分析科学

高速向流クロマトグラフィー(HSCCC)による研究

HSCCCとは、互いに混ざり合わない二相の溶媒を用いて、分配係数に基づいて
化合物を分離する分析手法であり、固定相・充填剤を使用しない液体クロマトグラフィーである。

最も得意とする分離は、「セミ分取(数 mgから数 g)」である!

説明動画

LC-MS/MSを用いたヒト疾患・フィジカルのワイドターゲットメタボロミクス

 ヒト生体内の代謝物は、数多く存在している。そのなかで、ある疾患に特異的に変動を示すものも多く、その変動を診断技術へ応用することも可能である。しかしながら、どのように測定するのか、その解析や解釈はどうするか、どんな疾患・病態・状態との関係があるのか、多くの疑問がまだまだ残っている。そこで、本研究室では、簡便かつ信頼性の高い分析技術を検討し、そのデータから疾患などとの関連性を見つけだす解析の開発を目指している。         
 この研究では、有機化学的な構造式の理解、化学反応(誘導体化反応)、分離分析、質量分析法、統計解析(多変量解析)、病理診断を融合した総合的判断が必要である。

疾患モデル動物の病理・臨床分析の融合科学

現在、薬学領域では、様々な疾患モデル動物が作成され、薬物の効果や疾患の原因究明に利用されている。その中で、疾患病理学と臨床分析化学を融合した体内動態解析を実施している。特に、腸内細菌叢の代謝物(短鎖脂肪酸)モニタリング、神経系伝達物質、ステロイドホルモンなど、疾患モデル(非アルコール性脂肪肝炎、メタボリック症候群、うつなど)マウスの新たな動態解析の知見獲得を目指す。

「食の安全・安心」を目指したレギュラトリー分析科学

食品衛生には、分析化学が欠かせず、農薬等の試験法開発、食品添加物の規格基準、食品汚染モニタリングとばく露評価などが挙げられる。本研究では、理化学的分析法を基盤として、様々な食品衛生に関わる研究を進めている。

アプリケーションデータ

No. タイトル PDF
1 ゴマ油不けん化物からのセサミンおよびセサモリンのHSCCC単離精製(Takahashi, M., et al., Sep. Sci. Plus 1, 498-505. 2018)
2 アバメクチン製剤からのアベルメクチンB1aおよびB1bのHSCCC単離精製(Beppu, K., et al., Anal. Sci. 37, 1385-1390. 2021)
3 ベニコウジ黄色色素からのキサントモナシンAおよびBのHSCCC単離精製(Takahashi, M., et al., J. Chromatogr. A 1555, 45-52. 2018)
4 毒きのこ「ツキヨタケ」からのイルジンSのHSCCC単離精製(Uto, Y., et al., Anal. Sci. 35, 789-792. 2019)
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ディープラーニング等高線HPLC 法を用いた食用きのこ識別に関する研究 [Supporting Information](Kitao, S., et al., 日本食品化学学会誌 30, 128-133. 2023)