研究テーマ

神経やホルモンによる生体の情報伝達に関連するタンパク質を主な研究対象としている。最近の研究テーマとしては

1)新規リゾホスファチジン酸受容体への作用物質のインシリコ探索と受容体機能の解明

 受容体は神経情報伝達物質やホルモンなどが結合する膜タンパク質であるが、上梓された薬の半数が標的とするタンパク質である.ヒトゲノム解析から遺伝子の存在は明らかにされているが、何が刺激物質であり、どのような生理機能を有するのかがわからない「オーファン(みなしご)受容体」の存在が知られている。本研究室では、このオーファン受容体についての研究を行っている。
 図は当研究室で発見した新規リゾホスファチジン酸受容体、GPR87の3Dモデルである。PC上で作製したモデル構造に、薬物の仮想的なドッキングシミュレーションを行い、受容体活性を予測している。

2)GPR87の生理機能に関する研究 

 GPR87は中枢、生殖組織、免疫系組織に分布している。2009〜2010年にかけて扁平上皮癌由来の細胞や子宮癌由来の培養細胞にGPR87が高発現し、癌細胞の増殖や浸潤に関与することが予測・報告されている。そこで、これらの培養細胞を用いて、癌細胞におけるGPR87の生理的役割について解明し、癌抑制のための新たな戦略について考案する。

3)神経細胞におけるリゾホスファチジルセリンの生理作用

 これまでに、GPR174がリゾホスファチジルセリン受容体であることを報告しているが、リゾホスファチジルセリンは神経細胞の分化を誘導することが以前、報告されている。そこで、現在、神経細胞に微量発現するGPR174がどのようなシグナル経路で分化誘導をもたらすか、分子レベルで解明することに努めている。










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