立命館小学校

Gifted learners?


今回、Korea Science Academy of KAISTが主催するオンラインのフォーラム"Education for the Gifted Learners in Science"でスピーチをしました。KSA of KAISTは、韓国の釜山にある理系のエリート校で、立命館高校がSSH事業の関連で、毎年、研修や国際共同課題研究などを通して交流を深めてきた学校です。
primary2/blog/detail/img/20210630-1

今回のスピーチ、ポストコロナ時代に必要な教育の観点について自由に話してほしい、という依頼でしたので、"Developing Intercultural Competence for Future Scientists(未来の科学者のために育む異文化間能力)"というテーマで話をしました。ポストコロナ社会を再構築していくためには、多文化協働を通じた創造が不可欠なので、その中心概念となる「異文化間能力」を紹介しました。

ところで、スピーチの準備をする段階で、私には見落としていたものがありました。それは、このフォーラムの中心テーマである "Gifted Learner"という考え方です。"Gifted"の日本語訳を調べると、「ギフテッド」と出てきます。つまり、「能力が特に秀でた学習者」という意味を(生まれながらにして、と言う含みもありつつ)一言であらわす適切な日本語は定着していないんですね。英才教育やエリート教育ともニュアンスが違うようです。

今回はKSAの先生と私の他に、John Monash Science High School(オーストラリア)やNational University of Singapore High School of Mathematics and Science(シンガポール)の校長もスピーチをしました。どうやら、韓国・シンガポール・オーストラリアでは、"Gifted Learners"は一般的な考え方のようです。しかし、スピーチを聞くにつれ、私自身は、特定の児童生徒のことを"Gifted"と描写することに抵抗を感じてしまったことも事実で、それは今日の大きな発見でした。
primary2/blog/detail/img/20210630-2

特定の児童生徒を"Gifted"として分けるやり方よりも、それぞれの子どものもつ多様な能力や資質をGiftとして尊重し、それぞれの形でどんどん伸ばしていくような形が、これからの社会にとっても、子どもたち自身にとっても必要なことではないかと思いますが、どうなんでしょう。世界的に教育観が大きく変化していく中で、従来通りの"Gifted Learner"という考え方はまだ有効なんでしょうか(って他のパネリストに質問したかったけど時間切れでした・・・)。引き続きこのテーマ、海外の事例をしっかり勉強しながら、考えを深めていきたいです。

校長 堀江未来