立命館小学校

ズボンも履きたい

少し前になりますが、5年生の児童に話があると言われ、教室に呼ばれて行ったことがあります。いわく、「みんなで遊んでいる時に、男の子たちはズボンだから自由に動けたけど、私たちはスカートだから同じように動けなかった。なんで女の子だけ我慢しないといけないのか、不思議に思った。私たちもズボンが履けたら良いのに」と。

(こちらはまさにその時の様子。囲まれております。)
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「そうだよね。それは不公平だね。ちょっと預からせてね。」と答えたものの、内心、この子達にそこまで言わせてしまって本当に申し訳ない気持ちでいっぱいでした。その悔しさや理不尽さは、私自身が一番よくわかっていたはずなのに。こんなことを言わせる前に、なんとかしてあげなければいけなかったのに。

とはいえ、これは良いきっかけでもありました。実は、今年度実現させたいと思っていることの一つに「制服プロジェクト」があります。立命館小学校の制服は基本的にはとても素敵だと思うのですが、一方で、子どもたちの学校での生活や登校の状況を考えると、いくつか改良したいなと思う点があります。今の制服の良さは残しつつも、現代の衣料技術を駆使したら、それぞれの子どもがより快適に過ごせて、登校しやすくて、家庭での洗濯・乾燥もしやすいようなものに変えていけるのではないか、合わせて、必要以上に性別による区別も減らせるのではないか。そのため、2学期からは教職員・児童・保護者・衣料の専門家からなる「制服プロジェクト」を立ち上げて、しっかり検討・実行していきたいと計画していたところでした。そんな中での児童からの要望でした。

制服プロジェクトの進展を待っていると時間がかかるので、先の児童たちからの要望については、「まずは今あるものでできること」を先生方と協議して、2学期からのルール変更で対応する事にしました。それは、「性別に関係なく、ズボンでもスカートでも、より学校での生活がしやすい、通学がしやすいと感じる方、自分らしく過ごしやすい方を選んでください」という事です。また、これまで男子はキャップ型、女子はハット型だった夏の帽子についても「好きな方を選ぶ」という事になりました。

今日の終業式では、このルール変更に関わって、「性別に関わるルールが、自分の生き方の可能性を広げるものであるなら良いけど、制限するものになっていたら良くないので、他にも気になることがあればまたいつでも教えてください」と伝えました。

児童一人ひとりが、「自分が力を一番発揮できる環境」とはどういうものかを主体的に考えて、それを自ら創り出していけるような力を身につけて欲しいと思っています。今回のルール変更がそれを考えるきっかけになれば嬉しいです。


校長 堀江未来