• 2021/02/19
  • 三陸海岸の津波堆積物から過去6000年間の津波履歴を解明 ~東北地方太平洋岸の地震・津波発生メカニズムの理解や津波ハザードのリスク評価の高精度化に寄与~
  • 立命館大学広報課
  •  2021年3月で2011年東北地方太平洋沖地震とその津波から10年が経ちます。その間に日本や世界各地で津波への関心が高まり、調査の結果、多くの津波堆積物が報告されてきました。津波堆積物は、過去に津波が襲来した証拠となり、その年代を調べることで、何年前に津波が発生したかを知ることができます。津波堆積物は地下に埋没するため、地面を掘り下げて津波堆積物を連続的に追跡することは難しく、一般的にはボーリング調査などの掘削が行われます。しかしながら、過去数千年間にわたる津波堆積物を欠損なく保存している地点は限られているため、掘削試料同士を比較し、津波堆積物の空間分布を推定することは容易ではありません。
     東京都立大学大学院 都市環境科学研究科の石村大輔 助教と立命館大学 総合科学技術研究機構 古気候学研究センターの山田圭太郎 専門研究員は、岩手県下閉伊郡山田町小谷鳥(以下、小谷鳥)で採取された長さ約5 m(深さ5 mまで)の掘削試料を用いて、過去6000年分の地層から14層の津波堆積物を認定しました。また、複数の指標(地球化学的情報、礫の形状、放射性炭素年代)を用いて、隣り合う掘削試料の間の地層を結び付け対比する(側方対比)ことで、現在の地形からは推定困難な地下の地層の侵食を知ることができ、断片的に分布する津波堆積物の空間分布を明らかにすることができました。さらには、先行研究で掘削した他の掘削試料と露頭の情報を加えることで、海側から陸に向かう長さ約250 mにわたる範囲の津波堆積物の空間分布を推定することができました。
     本研究では、複数の指標を使って津波堆積物の側方対比を行うことで、小谷鳥における津波堆積物の認定やその数に関する情報の信頼度を向上させることができました。今後、このような情報は、東北地方太平洋岸で発生する地震発生メカニズムの理解や津波ハザードのリスク評価に寄与すると期待しています。

     本研究成果は、2月17日付けで、ELSEVIERが発行する英文誌Quaternary Science Reviewsに発表されました。本研究の一部は、JSPS科研費JP17K18532の助成を受けたものです。

     プレスリリース全文は、以下をご覧ください。
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