PROJECT REPORT | 調査編

農業人口減少を
学生のアイデアで
解決する

2回生の「研究実践フォーラムⅠ・Ⅱ」では、学生がグループで研究テーマや研究手法を考え、
協力して調査・研究に取り組みます。「茨木市北部地域振興プロジェクト」では、
留学生と日本人学生が力を合わせ、農業をめぐる課題の解決に挑みました。

立命館大学大阪いばらきキャンパスのある大阪府茨木市の北部、泉原地区は山野に囲まれた自然豊かな地域です。古くから農業が盛んでしたが、近年は、高齢化による農業人口の減少、野生動物による被害などさまざまな課題を抱えています。「茨木市北部地域振興プロジェクト」では、留学生を中心にした6名がチームになり、1年間にわたってこの地域をフィールドに調査・研究を実施。地元農家や行政、市民との交流や、農業体験などのフィールドワークを通してこの地域の農業をめぐる課題を調査し、その解決のために何ができるかを模索しました。

れまで茨木市北部地域へは行ったことがなく、キャンパスのある茨木市内にこれほど豊かな自然があることを初めて知りました。

菊池 優芽さん

菊池 優芽さん
(日本)

4月:文献調査データから泉原地区の状況を調査

4月、まず文献調査からプロジェクトをスタート。学生たちは、日本の高齢化や労働人口の減少、その歴史的な背景などを理解するとともに、茨木市の人口動態や過疎化の現状、農業従事者の人口の推移などを調べました。その結果、現在茨木市で農業に従事する人の63%が65歳以上であり、農業従事者の高齢化が着実に進んでいることが明らかになりました。とりわけ泉原地区の高齢化は、茨木市の中でも深刻でした。加えて、農業の継続に欠かせない労働力にも課題があることがわかりました。農林水産省のデータで、茨木市の農家のうちの約60%には後継者がいないことが判明したのです。

泉原地区の人口推移 (2012-2018)

5月〜8月:フィールドワーク農業を体験し、課題に直接触れる

5月から8月にかけて、プロジェクトメンバーと研究をサポートする先輩2名が何度も泉原地区に足を運び、フィールドワークを実施しました。茨木市が行っている市民向けの農業体験ファーム事業に学生が参加しました。畑を耕し、ジャガイモやニンニクなどを収穫し、農業を実体験するとともに、地元の農家の方や茨木市職員の方と交流し、泉原地区の農家が抱えるさまざまな課題についてインタビュー調査を行いました。また茨木市役所を訪問し、茨木市職員の方との意見交換会も実施しました。

際に農業を体験して、想像した以上に重労働であることにびっくりしました。とりわけ夏の炎天下での農作業はしんどかった(笑)。これほど大変な仕事を65歳を超えた方々が行っていることに驚くとともに、ふだん食べているローカルフードに対して感謝の気持ちが湧きました。

SASAGAWA Yoshieさん

SASAGAWA Yoshieさん
(マレーシア)

学の友達や先生以外に、地元の日本人の方と話したのは初めてでした。最初は、学生が農業の現場に入っていくことに拒否的な反応を示されるかと思ったのですが、実際には農家の方々は皆フレンドリーで、優しく迎え入れてくれたのが嬉しかったです。

LU Zijingさん

LU Zijingさん
(中国)

立命館大学生(OIC)の農業への関心

9月:追加調査市職員の方との意見交換会を実施

9月には地元で採れる野菜や特産品を販売している「見山の郷」を訪れていた茨木市民の方々にもインタビューしました。その中で、農業従事者の高齢化、若い農業の担い手の不足など、事前の文献調査で明らかになった課題が現実のものとして浮かび上がってきました。

元の農家の方への日本語でのインタビューに苦労しました。現場で聞き取れたのは50%ほど。日本人学生の仲間に通訳してもらったり、インタビューを録音し、後でレコーダーを聞き直して内容を理解しました。

QIAO Yuqiさん

QIAO Yuqiさん
(中国)

木市の職員の方とも何度も話す機会がありました。最初は遠い存在だと思っていたけれど、非常に優しく、親身になって話を聞いてくださり、身近な存在に感じられるようになりました。

菊池 優芽さん

菊池 優芽さん
(日本)