学部概要

教員紹介

大塚 陽子 教授

専門分野
福祉政策、ジェンダー論

プロフィール

1989年本学文学部卒業後、会社勤務を経て、2つの大学院へ進み (1994年, University of Warwick, 文学修士, および1996年, 本学, 国際関係学修士)、その後JSPS(DC1)+デンマーク政府派遣留学生として1年間のデンマーク派遣を経て、1999年、本学で博士号(社会学)を取得。

さらに、JSPS(RRA)でDanish National Institute of Social Researchにおける2年間のデンマーク派遣勤務を終え、2003年より現職。2010年10月~2011年3月、2022年5月~9月、南デンマーク大学福祉国家研究所に客員研究員として滞在。

研究・教育

福祉先進国北欧におけるジェンダー問題を国際比較的な視点から研究しています。北欧では子どものケアに関してはまだジェンダー矛盾を生み出す要素となっています。その原因は「親個人」ではなく「2人親」を単位としたケアサポート制度にあるのではないかというのが私の仮説です。日・米・デンマーク・韓国におけるシングルマザーの暮らしと福祉政策の比較研究に続き、現在はデンマーク ・アイスランドの有子女性介護ヘルパーの抱える課題から、ジェンダー平等と福祉社会のサステナビリティについて追究しています。

近年は北欧も東アジアも少子高齢化という共通課題に直面しているため、北欧を東アジアの視点から考察しています。一国の福祉制度を最初から単体でみるのではなく、新自由主義化、グローバル化、デジタル化などの動態的な社会背景を見据えながら、複合的かつマクロ的な視点でミクロ的な研究をおこなうことが、政策科学には必要なスタンスだと考えています。

担当科目は「社会福祉政策/福祉とジェンダー」「比較福祉社会論」「Social Welfare Policies」「(院)Social Welfare Policy」。また、「政策実践フォーラム」ではこれまで3回、学生さんたちとデンマークでの現地調査をおこなってきました。

メッセージ
「福祉」というと社会的弱者を対象とする特別な救済として考えられがちですが、「福祉」とは「幸せ」、すなわち、社会的弱者に限らずひとりひとりの日常的 な幸せの実現を目的するものであり、そのための社会方策を考えるのが福祉政策の研究領域であるといえます。しかし、ひとりひとりの幸せを追求しようとする とニーズもまたさまざまです。福祉には理論よりも実践が重要であるとよくいわれます。福祉政策研究は机上の学問ではありません。ひとりひとりの将来の幸せ に関わる方法を当事者のニーズと直面しながら模索するのです。この2つの要素をうまく組み合わせながら研究を進めてゆけるのが政策科学部で学ぶ醍醐味とい えましょう。皆さんもご存知のように、日本型福祉社会はゆきづまっています。自分が家族をもったとき、高齢者になったとき、どうすれば幸せな生活が送れよ うになるのかを考えてみたい人は是非、政策科学部を覗いてみてください。
キーワード
福祉政策、ジェンダー平等政策 ケア労働、北欧、家族ケアラー支援、福祉社会のサステナビリティ