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研究入門フォーラム・政策科学特別実習「ユーラシア・プロジェクト」現地調査

政策科学部2回生の小集団演習科目である研究入門フォーラムでは「日本の安全保障とユーラシア」プロジェクトが今夏にロシア(サハリン)とモンゴルを訪問し調査を行いました。日本政府も注目しているユーラシアにおける安全保障を、資源や地政学的牽制の両面から研究し、とりわけユーラシアの中でも重要な位置にあるサハリンとモンゴルに焦点を当て、日本そして日本の周辺地域、更にはユーラシア全域に渡る安全保障構築のプロセスと具体的な政策提言について一年を通し検討しています。

(1)サハリン訪問

北海道と立命館大学の協定(2013年9月)およびサハリン大学と立命館大学の協定(2014年5月)にもとづき、北海道庁とサハリン大学の協力をえて、2014年8月30日から9月3日までサハリンを訪問しました。

州都のユジノサハリンスクでは、サハリン大学石油・ガス学部、サハリンエナジー社、在ユジノサハリンスク日本総領事館、北海道庁サハリン事務所、北海道新聞社ユジノサハリンスク支局等を訪問し、インタビュー調査を行いました。サハリン大学では、石油ガス学部長の講演のほか、石油ガス学部の施設でサハリンプロジェクトで用いる練習用機械などを見学しました。在ユジノサハリンスク日本総領事館では鉄道輸送について意見を聞き、北海道新聞社ユジノサハリンスク支局ではサハリンプロジェクトやエネルギー開発等について、現地でなければ入手できない情報を得ることができました。また北海道に面するコルサコフを訪問し、LNGの出荷を行う基地を見学しました。

コルサコフのLNG基地を展望

サハリン大学石油ガス学部にて

これらの調査を通じて、サハリン側からみたエネルギー資源をめぐる実相を理解し、日露間の北海道・サハリンを経由するエネルギーの流通の条件について再検討しました。

なお9月1日にはサハリン大学の新入生歓迎式に参列し、学生の活気、同校の歴史、そしてロシアの広大さ及び奥深さに触れ感動を新たにしました。翌日、同大学の経済学東洋学部日本語学科の学生と政策科学部学生が一同に会し、日露の基本的知識についてのクイズを通じて交流を深めました。

(2)北海道庁での報告会

サハリンから帰国した後、札幌では、北海道庁の各部署の職員の方々を前に報告会を開催いたしました。サハリンの調査で得た情報を加え、北海道の地理的位置が北東アジアと極東ロシアを結ぶのに最適であること、サハリンと北海道を結ぶパイプラインや鉄道の実現によってもたらされる北海道の可能性をテーマにプレゼンテーションを行いました。この報告に対して道庁の方々より、専門的かつ実務的知見をもとに、サハリン―北海道間の連携強化の観点や国際的視野をふまえた具体的なご指摘をいただき、学生にとっては貴重な機会となりました。
なお道庁のプレゼンの前日、札幌大学にて学生の留学・派遣の発表会を催していただき、札幌大学の学生と交流を深めました。

(3)モンゴル訪問

札幌からモンゴルに向かいました。モンゴルでは、モンゴル外務大臣補佐官へのインタビューのほか、国家安全保障委員会で勤務している立命館大学政策科学研究科のOB・OGをはじめとする専門家のかたがたに、モンゴルと中国、ロシア、そして「第三の隣国」(アメリカ、日本など)との外交関係についてインタビューを行いました。
在モンゴル日本国大使館では日本側の視点からモンゴルの内部事情について聞き取りを行いました。JICAでは日本の支援がどのようにモンゴルと関わっているか質問を行いました。加えて、日本との関わりが深い新モンゴル高校では、学生の研究についてプレゼンテーションを行う機会をえました、それらの機会を通じて、研究に役立つ貴重な意見を得ることができました。
なお駒沢女子大学の協力をえて、イフザサク大学のゲルに宿泊し、両大学の学生と実り多い交流をおこないました。

モンゴル国家安全保障委員会にて

モンゴルのゲルにて

(4)後期セメスターに向けて

「日本の安全保障とユーラシア」プロジェクトは、対象とする地理的規模が広くテーマ設定が容易ではなかったため、前期や夏休みに多くの文献を渉猟し、学生相互に議論を重ね、明確な目標をもって現地調査に臨みました。現地でインタビュー調査を行うたびに新たな意見を得ることができ、学生は研究テーマを何度も再検討するなど悪戦苦闘していました。
しかし、現地調査を通じて今後の研究にとって貴重な知見をえたことに加え、学生が様々な場で活躍するときに必要となる大変貴重な経験になりました。後期セメスターでは、前期セメスターに進めた研究の構想に付随する問題の解決方法を模索します。

最後に、今回の訪問にあたり、格別のご高配を賜ったサハリン大学、北海道サハリン事務所及び同国際経済室、モンゴル国家安全保障委員会、札幌大学、駒沢女子大学のかたがたに、厚くお礼申し上げます。

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