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ACS統計分析ワークショップ「実践:政策研究のための統計分析の基礎」を開催しました。

ACS統計分析ワークショップ「実践:政策研究のための統計分析の基礎」

統計分析ワークショップの目的
ビッグデータの活用やネットリサーチなど、データをもとに回答を導き出す統計分析は社会からますます必要とされています。統計的手法による科学的分析は、政策の研究はもちろん企業のマーケティングなどでも用いられ、キャリア形成を考える上で重要な能力となっています。政策科学部では「統計学」や「調査分析技法入門」などの講義科目で、統計の基礎知識や理論、調査設計の方法を学ぶことができます。また「政策情報処理」や「データ解析入門」、「社会調査法」といった科目では、表計算ソフトや統計分析ソフトを用いてデータを分析する実習を行っています。このように、カリキュラムの中で体系的に統計分析の知識や技法を習得することができるようになっていますが、研究入門フォーラム(2回生向けの少人数ゼミナール講義)や専門演習(3回生向けの少人数ゼミナール講義)の研究のなかで統計分析を使いこなすためには、より少人数で実践的に統計分析手法を身につける機会を提供することがプラスになると考えました。そのために企画したのが、統計分析ワークショップ「実践:政策研究のための統計分析の基礎」です。ワークショップでは、統計分析の経験豊富な大学院生の講師が近い距離で受講生それぞれの理解度を把握しながら、きめ細やかな対応を行い、能動的な学びのサポートとなることを目指します。

統計分析ワークショップの内容
今回のワークショップでは、一から統計分析を学ぶ学生を対象に、「表計算ソフトを用いたカイ二乗検定による政策効果の分析」と題し、基礎的ながら実践的な統計分析手法としてクロス表分析とカイ二乗検定の実習を行いました。データの分析では分析を通して得られた結果が、確率的に偶然に発生するものなのか、それとも意味のあるものなのかを検証する必要があります。そのための手法の一つがカイ二乗検定です。

ワークショップは、参加した学生が研究入門フォーラムや専門演習のなかで統計分析を活用して、科学的な分析・考察によって研究を深めていくことを目標としました。そのために、最初に、統計分析を行う上で必要となる基礎的知識の準備を行いました。ここでは、政策研究における科学的方法としての統計分析の位置づけや利点、注意点について触れながら、母集団や標本といった統計学の基本概念や、変数と値からなるデータの構造などを解説していきました。

続いて、カイ二乗検定について解説し、受講生が手順にしたがって計算を行いました。分析結果そのものは表計算ソフトや統計分析ソフトの操作を習得すれば容易に得られます。しかし、統計分析の初学者にとって、カイ二乗検定のような統計学的仮説検定の考え方を理解するのは難しいものです。講師と受講生が一つひとつの手順の意味合いを確認しながら実際に手計算していくことで、仮説検定の理解を進めていきました。

 

最後に、表計算ソフトを用いて実際の意識調査データから政策効果について分析する実習を行いました。分析を行う上ではさまざまな技術的問題が起こりえます。ここでも講師と受講生がコミュニケーションをとりながら、そのような問題を解消しつつ、実習を進めました。

参加者からの声・意見と今後について
ワークショップには、計6名の学生が参加しました。大半の学生が、統計学を学ぶ意欲は強いものの、「苦手意識がある」「勉強法がわからない」などの課題を抱えていました。そのため、「少人数かつ実践型の本講義スタイルは非常にわかりやすかった」という意見が多くの学生から挙げられました。学部講義では疑問点があってもなかなか質問できないという学生も、ワークショップでは講師との距離が近いため、疑問を解消する場としては最適だったと答えています。その他、学生からは「具体的な講義内容を広報してほしい」、「目につく場所にチラシを張ってほしい」など、広報に関する声も多く寄せられました。

今回、ワークショップを企画したのはACS(Academic Communication Supporter)という、2013年度より発足した政策科学研究科の大学院生で構成される新しい組織です。ACSでは、政策科学部で学ぶ学生の学修・キャリア形成をサポートすることを目的に、これまで履修相談ヘルプデスク(4月)、政策科学とキャリアワークショップ(5月)を企画・開催してきました。統計分析ワークショップは、これらの企画に続き、学生から特に需要の高いと思われるテーマについてのサポート企画として開催されました。参加者は、ワークショップを通じて統計分析の基礎的な知識を学び、そのなかで抱いた疑問もその場で解消することができていました。そして、ワークショップで出された課題に積極的に取り組むなかで、参加者が統計分析を身につけるための一定の成果を収められたと考えています。今後は参加者からの声をもとに更なる内容改善に取り組み、学生の学修・キャリア形成をサポートするため、統計分析ワークショップの内容充実を図っていこうと思います。

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