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研究入門フォーラム タイ・プロジェクト現地調査

政策科学部政策科学専攻2回生の小集団演習科目である研究入門フォーラムでは、今年もタイ・プロジェクトを開講し、夏期休暇にタイでの現地調査を実施しました。今年度からは同学部の英語プログラムであるCommunity and Regional Policy Studies(CRPS)専攻のIntroduction to On-site Research 1,2と合同開講とし、授業内での使用言語も英語にしました。政策科学専攻4名ならびにCRPS専攻2名の受講生が、本学部教員の豊田祐輔准教授、ションラオーン・ピヤダー助教とともに、2014年9月1日~12日にわたりタイ・タマサート大学建築計画学部のサポートを得ながら国際共同ワークショップに参加し、政府機関などでのヒアリングから住民などへの調査を通して、最終発表会で政策提言を行いました。

今回の調査の主な目的は、①ASEAN経済共同体の創設へ向けて共通語としての英語が重要になってくることから、今後の英語教育に重要な要因と改善方策の探索、②大都市バンコクでは自家用車の多さと不十分さ都市計画のため交通渋滞に悩んでいることから、バンコクへ流入する自家用車数を減らすための方策の検討、そして③経済発展の活力の源でもあるチャオプラヤ川下流域が観光都市でもあるバンコクにおける観光産業の水質汚濁の問題を抱えていることから、チャオプラヤ川沿いの商店における排水処理の問題解決策の提案でした。

受講生はタイに到着早々、自分たちの研究計画を発表し、タマサート大学教員などのコメントを受けて研究内容を修正しつつ、タマサート大学教員による講義やバンコク都庁などの政府機関でのヒアリングを経て、前期セメスターに行った文献調査に加えて、現状を把握するとともに、政府による対策などについて学びました。さらに、タマサート大学生のサポートを得ながら、自分たちの仮説(正しいかどうか未確定で、証拠を示して真偽を証明すべき説明)を検証するため、バンコクならびにタマサート大学においてアンケート調査およびインタビュー調査を実施しました。最後に、日本で考えてきた仮説を現地調査によって検証し、それぞれの社会問題について政策提言を行いました。

今回の訪問調査先は受講生たち自身で決めた研究テーマに合わせてタマサート大学のサポートにより決定され、日本における文献調査と調査デザインを踏まえた明確な目的意識をもって現地調査に取り組みました。特に目的①では大学生へのアンケート分析を通して研究モデルに基づいた仮説検証を丁寧に行い、目的②ではバンコク都庁が地元住民向けに実施するワークショップに参加することで、ボートと電車という公共交通機関間の連携の意味を実際の体験を持って学びました。そして、目的③では政府で取り決めている環境政策と実際の現場での排水処理という実践のギャップを見出すなど、設定した問題や課題を現地での体験、調査を通して理解するとともに、政策提言に繋げる貴重な機会となりました。

今年度からタイ・プロジェクトは授業内の使用言語が英語ということもあり、特に日本人学生は悪戦苦闘しながら前期セメスターを過ごしましたが、その日本での努力がタイでの英語による講義の聴講や現地調査を実りあるものにし、さらにタイ人教員や学生との有意義な議論につながったと思います。また、タマサート大学生との交流を通じて、タイがより身近に感じるようになるとともに、今回の経験によってタイでの留学を真剣に考えるようになった学生もいました。最後に、訪問受け入れにご協力いただいた各種政府機関・NGO、ならびに国際共同ワークショップを開催し貴重な現地調査の機会を設定していただいたタマサート大学建築計画学部の教員ならびに学生の皆様に、この場を借りて厚く御礼申し上げます。

ウェルカムパーティでの交流イベント
(タマサート大学にて)

バンコク都庁での講義

バンコクの低所得者居住地域での現地調査

最終発表会での発表の様子

最終発表会終了後の集合写真
(国際共同ワークショップ修了証とともに)

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