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総合心理学部
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2017.4.27 up

「当たり前」を問い直す、
文化人類学とは?

澤野 美智子

心理学を学びに来たのに、文化人類学?
耳慣れない学問だな、心理学とは関係なさそうだな、と思う人もいるかもしれません。でも実は、文化人類学は心理学と関わりが深い学問なのです。いったいどんな学問なのでしょうか。

もともと文化人類学は、欧米の人類学者が遠い外国の奥地を訪れて、文化を観察し記述するところから始まりました。欧米の人類学者たちが驚いたのは、「未開」だと思っていた地域にも独自の社会システムがあり、欧米とはまったく異なる方法で、実にうまく機能している、ということでした。そのなかで、いろいろな地域の人たちがそれぞれどのような心性をもつか、子どもたちはどのように育てられるか、などの比較研究がなされていきます。
人類学者たちは次第に、自分たちの文化に対しても目を向けるようになります。外国の文化を観察するのと同じ目線で、自分たちの文化を見つめ直すようになったのです。そうすることで、今まで当たり前すぎて意識もしなかった自分たちの風習や日常的な行為が、実は当たり前のことではなかった、と気づくようになります。
現在、文化人類学は、世界中のあらゆる現象を研究対象にしています。私たちが普段なにげなく通り過ぎている学校や公園、ショッピングモールでさえ、面白い研究ネタがたくさん転がっており、実際にそのような場所で現地調査をしている人たちもいます。日常の「当たり前」を一歩引いたところから眺める目を養ってくれる学問、それが文化人類学です。

文化人類学を通じて
家族に関する心理を問い直す

総合心理学部で学ぶ文化人類学では、主に、家族に焦点をあてていきます。
みなさんのなかには、今まで心地よい家族生活に恵まれてきた人もいれば、家族関係に苦しんできた人もいるでしょう。その心地よさ、あるいは苦しさは、個々人の問題にとどまらず、おそらく社会的・文化的に作り出されてきたものでもあります。社会や文化、時代によって、理想とされる家族のありかたは異なり、そこにあてはまるかどうかで、心地よさや苦しさが大きく左右されてくるからです。
一般的に家族の「病理」や「崩壊」と呼ばれるような現象に陥ると、私たちは苦しみます。しかしそのような現象だって、もしかしたら海外では「病理」でも何でもなく、ごく当たり前の家族のありかたかもしれません。いったん自分の「常識」の外に出てみること、他の社会や文化のありかたを参照しながら、自分の心地よさや苦しさをもっと広い文脈でとらえ直してみること。そのようなスキルを身につけておけば、困難に対しても柔軟に対処することができます。

文化人類学を学ぶことで、あなたの人生は、より強く、味わい深いものになるでしょう。

キーワード
異文化(他者)理解
家族
参与観察
フィールドワーク

文:澤野 美智子

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