教員紹介

Michiko SAWANO

澤野 美智子

澤野 美智子
所属学部
総合心理学部
職位
准教授
専門
文化人類学、医療人類学、社会学
主な担当科目
「家族と人間」、「現代家族論」
おすすめの書籍
社会学になにができるか(奥村隆編)の序章「社会学になにができるか」

現在の研究テーマ(または専門分野)について教えてください。

私は学部で社会学を、大学院で文化人類学を専攻しました。どちらも、「常識」とされていることを異なった角度から眺め、「見えないものを見る」ことを目的とする学問です。文化人類学では特に、現地の生活に加わって観察したり、現地の人びとに話を聞いたりすることを重要な研究方法としています。これは異文化を理解することだけを目的とするものではありません。異文化を通して、自分たちの「当たり前」が決して絶対的なものではないと気づくことができるのです。

私は現在、韓国の乳がん患者の語りを通して、家族や医療の問題について考えることを研究テーマにしています。世界共通の病気であっても、なぜ自分がその病気に罹ったのかという解釈の仕方や、その病気を治そうとする方法は、文化や社会によって大きく異なります。その特徴には、それぞれの文化や社会で理想とされている家族のありかた、身体のありかたや世界観が反映されているのです。

どんな学生時代を送っていましたか。

高校生の時は受験勉強ばかりして過ごすのが嫌で、見聞を広げたり表現力を高めたりすることに熱中していました。例えば高1の夏には「地域のことを調べる」という社会科の自由研究課題が出されたのですが、私は200校ほどの小学校区を自転車で回って「グー・パー」の掛け声を子どもたちに聞き、地図上に色分けする作業を1人で行いました。

また高2の秋には美術の自由課題が出たので、牛乳パックを1000本以上使って公衆電話ボックス大の家を作りました。高3のときは自由選択科目の国語表現の授業でエッセイを書く楽しさに目覚め、自分の中からどんどん湧き出てくる言葉を書き留めるのに忙しい日々を送りました。

また高校生活を通じて複数の部活動に参加したり、高3の文化祭では有志の劇をしたりもしました。受験勉強以外に時間を割きすぎて受験科目の成績は芳しくありませんでしたが、高校生時代の経験は、現在研究者として生きる上でも大きな力になっています。

現在の専門分野を志した理由・きっかけを教えてください。

私は幼少時から、ものごとを一歩引いたところから見る傾向がありました。例えば演劇を見れば、その劇の内容に入り込むよりも、役者さんの着ているすりきれた舞台衣装のほうが気になり、「この役者さんは普段どんな日常生活を送っているんだろう」と想像を膨らませていました。

のちに大学の教養科目で文化人類学や社会学の授業を受けたとき、それまでの自分のまなざしと通ずるものを感じました。演じられている劇の内容よりも「この役者さんは普段どんな日常生活を送っているんだろう」というほうに焦点を当てた研究(すなわち、一般的に常識として見えているものを疑い、それを裏側から問い直すような研究)がたくさんあることを知りました。実際に現地へ出かけて行って人の話を深く聴くという研究方法にも魅力を感じましたし、そのような研究が世間の常識を覆しうることを知って本当にわくわくしました。それが現在の専門分野を志したきっかけです。

高校生へメッセージをお願いします。

もしあなたが「こうでなければならない」と
自分で考えているものや、
社会や周囲の人が「こうあるべきだ」と
押し付けてくるものに苦しんでいるならば、
意識的に視野を広げてみましょう。
文化人類学や社会学の本に手をのばせば、
自分の「常識」が絶対的なものではなく、
他の社会では異なる方法で
捉えられていると知ることができます。

自分の「常識」に縛られない生き方もあることを知り、
なぜ自分や周囲がそれを「常識」と考えているのか、
なぜ自分が苦しんでいるのかを
客観的に捉えることができるようになれば、
苦しみに対しても柔軟に
対処することができるでしょう。

文化人類学や社会学を学ぶことは、
自分や他者について多様な角度から
理解するための道具を得ること。
柔軟に、そして強く生きる術を
身につけること。
これは現在苦しみを感じずに
過ごせている人たちにとっても
今後の人生を生きる上で有用であり、
私はみなさんの学びを
応援したいと思っています。

「見知らぬ場所で「私」に出会う」 澤野 美智子

「見知らぬ場所で「私」に出会う」 澤野 美智子

経歴・業績について