UTSUNOMIYA Hiroshi
専門分野は生涯発達心理学と家族心理学です。主な研究テーマは以下の通りです。
1.親密な他者との持続的関係の展開と危機
2.子どもの人格形成と家族システム
3.生殖医療における心理的支援
学生時代は、大学院も含めてずっと教育学系に在籍していました。当時の友人の多くは教師として活躍しています。
私自身は研究者の道を選んだわけですが、高等教育の質が問われるようになっている今日、教育実習等の学校現場での様々な活動は、私にとって貴重な経験であり、大学での教育に携わる自分の原点でもあります。
ちなみに私は、大学院(修士課程)を二度経験しています。もう一度は大学教員になってからです。臨床心理士を取得するために進学しました。
社会人になってからの学生としての学びは、私とって非常に新鮮で刺激的なものでした。その2年間は青年期に学生だった自分を振り返る機会にもなり、生涯学習の魅力と青年期に学ぶことの大切さを改めて考えさせられました。
現在は実証研究に取り組む一方で、臨床心理士として医療現場等で臨床実践活動にも携わらせていただいています。
大学には、当時まだ十分に確立されていなかったスクール・カウンセリングについて学びたいという思いで進学しました。
ですが、学部の3年生の頃に家族心理学に関するある書物と出会い、その魅力に取りつかれました。私にとっては衝撃的な出会いで、現在の専門分野の研究者としての道を志すきっかけとなりました。
その出会いもあって、卒業論文から博士論文までずっと、老年期の夫婦を対象とする研究に取り組むこととなりました。当初は、成人期の親密な関係の中でも、半永続的に持続することが前提とされ、実際に多くの人々が死を分かつまで添い遂げる特異性から、夫婦の結びつきに関心をもちました。
また、老年期に焦点を当てたのは、生涯発達の究極の段階だと考えたからです。その後、次第に研究対象が若返っており、現在では夫婦の関係性の形成期である成人初期(とくに婚約期、新婚期)の研究を中心に取り組んでいます。
みなさんは青年期の最中にありますが、生涯発達を考える上で、
とても重要な時期に位置しています。
子どもから大人への過渡期に差し掛かっており、
自らによる主体的な意思決定と関与が求められるようになるからです。
そのため、自分の生き方や家族とのつきあい方などをめぐり、
いろいろと思い悩んでいる方もいるかもしれません。
青年期には自分とは何者かといった、
アイデンティティへの問いに直面しやすいといわれています。
高校生のみなさんにとっては、主要な発達的なテーマとも考えられます。
自己のアイデンティティへの問いは、
大学においても多くの方が経験しているかもしれません。
大学の四年間では、授業以外にも、各種インターンシップや部活動、
留学、アルバイトなどの多様な機会があります。
それらの機会において、自らのアイデンティティを探求することは、
きっと成人期以降のみなさんを支えてくれるのではないでしょうか。