SUZUKI Keita

鈴木 啓太

鈴木 啓太
所属学部
総合心理学部
職位
特任助教
専門
社会心理学
主な担当科目
基礎演習・展開演習
おすすめの書籍
どこから行っても遠い町川上弘美 沈黙遠藤周作

現在の研究テーマ(または専門分野)について教えてください。

暗黙理論やマインドセットと呼ばれる、「能力は努力によって変わるか?」という考え方や信念を扱っています。
「能力は努力によって変わる」という信念を持つ人は、困難に直面した際にも努力を継続できるため、こういった信念を持つことが望ましいとされます。一方で、さまざまな課題の選択肢があるときに、そういった信念を持つことが苦手な分野の固執に繋がることもあるかもしれません。逆に「能力は生まれつき決まっている」と考えるからこそ、向いている分野を探索しようとすることがあるかもしれません。また、こういった信念を通じた他者をどのように見るのか、こういった信念はどういった社会や文化のもとで優勢になるのかといったことを、主に調査と実験の両方の手法を取り入れて検証しています。

どんな学生時代を送っていましたか。

学部生の間は体育会系のバスケットボール部に所属していました。あまり熱心な方ではなかったと思いますが、今思うと、チームスポーツに取り組んだ経験(特に、みんなが同じ目標を達成しようとしているのに協働がうまくいかない経験)は、社会や組織について考えるための多くの手がかりを与えてくれたように思います。
大学院生になってからは、映画や音楽、お笑いなど、いわゆるサブカルチャーの吸収に勤しんでいました。当時は教養があるように思われたいという動機に動かされていた節もあったと思いますが、それらの探索は多くの気付きや発見をもたらしてくれました。今では、少し無理してインプットした時期もいい経験だったように思います。

現在の専門分野を志した理由・きっかけを教えてください。

最初は、人が何を考えているかを知ることができたら面白そうだなあと漠然と考え、心理学の学科を選びました。そこで心理学にも色々な領域があることを知っていく中で、自分は人が人について考えるということや人が互いに影響を与えあってしまうこと、そういった出来事が展開される社会というものに本当は興味があったことに気付きました。その気付きのきっかけは、専門的な知見の学習というよりは、自分の好きな小説や映画に触れる中で、「どうして自分はこういうものが好きなのだろう」ということの思索の中にあったと思います。

高校生へメッセージをお願いします。

科学としての心理学を学ぶことが人生を豊かにすることがあるとしたら、それはどのような場合でしょうか。
心理学科に進んだ最初の頃は、実生活を便利にしてくれるような心に関する知見をできるだけ多く学ぶことが、心理学で人生を豊かにする方法だと考えていました。
しかし、心理学のコミュニティに身を置くうちに、一つ一つの研究プロセスやそこから生み出される個々の知見は、自身が立てた理論やモデルを、未知の現象や矛盾に出会った時に修正しようとするより大きな営みの一部だと感じるようになりました。そのような、既存の知識を絶えず更新しようとする作法を身につけることが科学としての心理学を学ぶ意義だと今は思います。
社会がよりいっそう複雑で不確実になっていく中でこういった汎用性の高い作法を身につけることは、個々のライフハックの習得を超えて、人生を豊かにする一つのアプローチだと思います。

経歴・業績について