YATO Yuko

矢藤 優子

矢藤 優子
所属学部
総合心理学部
職位
教授
専門
比較発達心理学、乳幼児心理学
主な担当科目
「乳幼児心理学」
おすすめの書籍
0~12歳児の発達と学び北大路書房

現在の研究テーマ(または専門分野)について教えてください。

乳幼児期の子どもの行動発達について、周りの環境(養育者、家族、地域、文化など)とのかかわりに重点を置いて研究しています。

特に、他者と同じものに注意を向ける「共同注意(Joint attention)」と呼ばれる現象に興味があります。他者が見ているものを見る、指さしをして相手の注意を引く、といった共同注意にかかわる行動は、認知発達やコミュニケーションに重要な役割を果たすものです。

これまでの研究は、「同じものを見る」という視覚的な共同注意がほとんどですが、私は触覚や聴覚による共同注意にも関心があります。

また最近では、フランス研究者とともに、行動計測機器としてデジタルペンを用いた乳幼児の書字・描画研究も行っています。デジタルペンは「何を描いたか」だけでなく、筆速、筆圧、描き順など「どのように描いたか」という情報を分析対象とすることを可能にするので、今後の研究や臨床の場での活用が期待できます。

どんな学生時代を送っていましたか。

クラブやサークルにも入らず、積極的に友人を作るタイプでもなかったので、空き時間にはひとり図書館で本を読んでいることが多い学生でした。でも講義にはきちんと出席していたので、試験前には大勢の人がノートを借りに集まりました(笑)。

夜は家庭教師、塾講師、ホテルの給仕、イベント業務など、いろんなアルバイトをして生活費を稼いでいたので、とても忙しかったです。

ニホンザルをたくさん飼育しているゼミに所属したので、3回生から大学院にかけての8年間、定期的にニホンザルのオリの掃除をしたりエサをやったりする当番があり大変でしたが、動物との触れ合いは貴重な経験でした。

現在の専門分野を志した理由・きっかけを教えてください。

特に「子どもが好き!」というわけではなかったのですが、ゼミで保育園や発達障害児施設のフィールドに入ったり発達検査のテスターをしたり、子どもと触れあう機会が多くなるうちに「子どもっておもしろい!」と思うようになりました。

赤ちゃんを研究することは人間の起源を知ることにつながり、発達を研究することはたえず変化し続ける人間を、定点的ではなく連続的なプロセスとしてとらえる試みです。

乳幼児は大人のように実験手続きを理解したり言葉で回答することが難しいので、ありのままの行動を観察することが一番有効で面白いです。

高校生へメッセージをお願いします。

大学では、自分の関心のある専門分野について基礎から学べて、
それぞれの専門分野でその道一筋に研究してきた先生が
最新の知見をライブで講義してくれて、
ゼミではマンツーマンで指導もしてもらえる、
という今後の人生でもなかなかない貴重な機会を得ることができます。

大学に入ったら、そのような機会をぜひ最大限に活用してください。

心理学は、学べば学ぶほど世界が違ったものに見えてきて、
周りの人々の心や行動について多面的に考える力が身に付き、
新しい自分を発見することにもつながる面白い学問だと思います。

経歴・業績について