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2021.04.16

アジア・日本研究所の5周年記念シンポジウムがオンラインで開催されました

 2月23日(火)、本シンポジウムのメイン・セッションにあたる "Asia-Japan Research and the Meridian180 Global Network"が開催され、グローバルな諸問題の解決に向けて専門家と市民の間に開かれたオンライン上の政策提言・対話フォーラムであるMeridian180の役割に関する意見交換が行われました。 まず、本学副学長である徳田昭雄教授より述べられた開会の辞では、アジア日本研究機構がグローバルな結びつきのなかで、「アジアの、アジアによる、アジアのための研究とイノベーション」を促進する役割があることが強調された。
 本セッションでは、フォーラムの創設者であるAnnelise Riles教授(ノースウェスタン大学)が、"Meridian 180's Contribution to the Future of Global Society"と題して、パンデミック以後のグローバル社会においてMeridian180が果たしうる役割とその指針に関する基調講演を行いました。講演では、ウェビナーがますます普及する社会において、デジタルなプラットフォームとしての役割を強化していくことで、国境を越えた専門家と市民同士の信頼と知の共有を進める必要性が強調されました。
 また、本学からは森裕之教授(本学政策学部)より"Ritsumeikan's Engagements with Meridian180"と題する講演が行われました。これまで立命館大学はスマート・シティ化、高齢化、食と農業の問題など様々な問題領域でMeridian180の活動に関わっており、講演では今後もその関わりを強化していくことの重要性が強調されました。
両講演後の質疑応答では、社会における分断や公共的関心の低下などを乗り越えるために、Meridian180がいかなる役割を果たしうるのか、プラットフォームとしての長期的な発展のために若手研究者がいかに関わることができるのかについて、活発な議論が交わされました。
 最後に、本研究所所長である小杉泰教授が閉会の辞を述べ、COVID-19以降の社会におけるデジタル化のさらなる拡大のなかで、人と人の直接的な接触の場を創出することで、金融と情報のグローバル化がもたらす問題に対処していくことの必要性を提起しました。全体として、未来社会の創出のために、大学が市民社会と関わっていくための新しいモデルの構築に向けた刺激的な討論の場となりました。

【Core】
 2月23日(火)、本シンポジウムのメイン・セッションにあたる "Asia-Japan Research and the Meridian180 Global Network"が開催され、グローバルな諸問題の解決に向けて専門家と市民の間に開かれたオンライン上の政策提言・対話フォーラムであるMeridian180の役割に関する意見交換が行われました。
 本セッションでは、フォーラムの創設者であるAnnelise Riles教授(ノースウェスタン大学)が、"Meridian 180's Contribution to the Future of Global Society"と題して、パンデミック以後のグローバル社会においてMeridian180が果たしうる役割とその指針に関する基調講演を行いました。講演では、ウェビナーがますます普及する社会において、デジタルなプラットフォームとしての役割を強化していくことで、国境を越えた専門家と市民同士の信頼と知の共有を進める必要性が強調されました。
 また、本学からは森裕之教授(本学政策学部)より"Ritsumeikan's Engagements with Meridian180"と題する講演が行われました。これまで立命館大学はスマート・シティ化、高齢化、食と農業の問題など様々な問題領域でMeridian180の活動に関わっており、講演では今後もその関わりを強化していくことの重要性が強調されました。
 両講演後の質疑応答では、社会における分断や公共的関心の低下などを乗り越えるために、Meridian180がいかなる役割を果たしうるのか、プラットフォームとしての長期的な発展のために若手研究者がいかに関わることができるのかについて、活発な議論が交わされました。
 最後に、本研究所所長である小杉泰教授が閉会の辞を述べ、COVID-19以降の社会におけるデジタル化のさらなる拡大のなかで、人と人の直接的な接触の場を創出することで、金融と情報のグローバル化がもたらす問題に対処していくことの必要性を提起しました。全体として、未来社会の創出のために、大学が市民社会と関わっていくための新しいモデルの構築に向けた刺激的な討論の場となりました。

Core Session
Core Session

【Session1】
 2月22日(月)、本シンポジウムのパネル・セッション1 "Digital Archiving of Cultural Properties Based on Advanced ICT and Utilization of the Archived Data"が開催されました。
 田中覚教授(本学情報理工学部)が進行役を務め、Michael Feener教授(京都大学東南アジア地域研究研究所)および、Fadjar I. Thufail博士(インドネシア科学院・主任研究員)の基調講演と、立命館大学情報理工学部所属の若手研究者・大学院生の発表が行われました。
 全体として、東南アジア地域や日本などの歴史的遺産をモデルケースとして、先端的なデジタル技術を駆使することで、その保存と継承を図ることが、主たる研究課題として共有されました。
 歴史的遺産は、人間の記憶や自然的条件によって、忘却や喪失の危機に晒されています。それに抗して、先端的なデジタル技術を駆使することで、単に歴史的遺産を保存するだけでなく、歴史的遺産への新しいアクセスの仕方を創出し、文化創造の異なる在り方を提案することの重要性を認識させるセッションとなりました。また、各発表に関して質疑応答が設けられ、歴史的遺産の継承と現代的な文化創造のあり方について、発表者と聴衆の間で活発な議論が行われました。

Digital Archiving of Cultural Properties Based on Advanced ICT and Utilization of the Archived Data
Keynote Speech
The Integration of Digital Heritage Documentation and Online Archive Building
(Prof. R. Michael Feener)
Invited Speech
Sea as Method: Borobudur and the Ontology of the Maritime
(Dr. Fadjar I. Thufail)
Linking Ukiyo-e Records across Languages: An Application of Cross-Language Record Linkage Techniques to Digital Cultural Collections
(Dr. Yuting SONG, Specially Appointed Assistant Professor, College of Information Science and Engineering, Ritsumeikan Universit)
Fused 3D Transparent Visualization for Large-scale Cultural Heritage Using Deep Learning-based Monocular E-construction
(Jiao PAN, Doctoral Student, Graduate School of Information Science and Engineering, Ritsumeikan University)
Collision Visualization of a Laser-Scanned Point Cloud: The Revival of a Traditional Procession Route (Weite LI, Doctoral Student, Graduate School of Information Science and Engineering, Ritsumeikan University)
Session1写真
Session1

【Session2】
 2月25日(木)、パネル・セッション2" Islam in Action in Inter-Asian Everyday Lives: Looking beyond Islamophobia"が開催されました。
 鳥山純子教授(本学国際関係学部)が進行役を務め、「イスラームを脱政治化」するという主題のもと、多様な地域におけるムスリム女性の日常的な生業や表象のされ方についての発表が行われました。
 本セッションでは、5つの発表が行われ、多様なフィールドワークによる知見に基づいて、ムスリムの女性の社会的な位置づけが日常生活を通じて形成されてくる様子が示されました。ムスリムの女性たちがそれぞれの社会のなかで自己を表現する形は多様である。マレーシアにおける伝統的民族衣装とイスラーム的なデザインの融合を取り扱った研究(Dr. Nurul Huda Mohd. Razif, École des Hautes Études en Sciences Sociales)、香港におけるムスリムと豚肉との関係をめぐる研究(Kota "Sasha" Oguri氏、東京外国語大学)、インド映画におけるムスリム女性の表象の変遷を扱った研究(Dr. 中村雪子、立命館アジア・日本研究機構)、イランにおいてK-POPを消費する女性たちの政治性をめぐる研究(Gi Yeon Koo教授, Seoul National University)など、ムスリム女性の日常のなかに広がる多様な姿が示されたセッションとなりました。
 質疑応答では、英語で研究発信することが主流である現代の大学制度のもとで、親密な日常性の空間の多様性を研究することの重要性をめぐって、活発な議論が交わされました。

Islam in Action in Inter-Asian Everyday Lives: Looking beyond Islamophobia
De-politicizing Islam, Re-politicizing Islam: An Inter-Asian Attempt
(Prof. Junko Toriyama)
The Fabric of Modern Malay, Muslim, and Female Identity: Batik, Female Entrepreneurship and Muslim Consumerism in Contemporary Malaysia
(Dr. Nurul Huda Mohd. Razif)
Half the Faith in a Global City: A Preliminary Report on Ritual Purication among Muslim Domestic Workers in Hong Kong
(Kota "Sasha" Oguri)
Muslim in Indian Movies: Revisiting the representations of Gender and Islam
(Dr. Yukiko Nakamura)
Mega-Asia" and Asias: Exploring Iranian Gender Performativity from the Asian Perspective
(Prof. Gi Yeon Koo)
Session2写真
Session2

【Session3】  2月27日(土)、パネル・セッション3 "Human Security in Japan"が開催されました。足立研幾教授(本学国際関係学部)が進行役を務め、「人間の安全保障」の概念を軸に、SDGsの取り組みを問いなおすセッションとなりました。
 本セッションでは、高須幸雄・元国連大使(人間の安全保障フォーラム・理事長など)より"SDGs and Japan: Human Security:Indicators for Leaving No One Left Behind"と題する講演が行われました。講演では、現在のSDGsの指針が必ずしも日本社会の現状に即していないという問題点を軸に、ローカルな文脈に即しつつ、人間の尊厳の観点に基づいてインクルーシブな社会環境を生み出していくべきとする指針が提起されました。
 基調講演の後は、Polina Ivanova氏(本学国際関係研究科博士課程*)が日本における留学生の安全保障を支える制度の必要性に関する発表を行いました。また、Yusy Widarahesty氏(本学国際関係研究科博士課程)が、東南アジア諸国が多くを占める技能実習生に対する人権侵害の問題に対して、「人間の安全保障」の観点から発表を行いました。

質疑応答では、クロス京子教授(京都産業大学国際関係学部)がディスカッサントを務め、女性、子ども、留学生や技能実習生などの当事者へのエンパワーメントの方方や、「尊厳」の価値を適用する際に生じる個別的な問題についての理解の必要性などについて、参加者の間で活発な意見交換が交わされました。

* 彼女は2021年3月に博士号を授与されました。おめでとうございます。

Human Security in Japan
Keynote Speech
SDGs and Japan: Human Security Indicators for Leaving No One Left Behind
(Yukio Takasu, President, Human Security Forum/ Special Advisor to the UN Secretary-General on Human Security/ Former Under-Secretary General of the United Nations)
Human Security of International Students in Japan
(Polina Ivanova, Doctoral Candidate, Graduate School of International Relations, Ritsumeikan University)
International Labor Migration in The 21th Century: Case Study of Indonesian Technical Intern Trainee Program in Japan
(Yusy Widarahesty, Doctoral Student, Graduate School of International Relations, Ritsumeikan University /Lecturer, Al Azhar Indonesia University)
Session3写真
Session3