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2021.07.19

第34回AJI 研究最前線セミナー開催

 2021年7月13日(火)、第34回AJI最前線セミナーがオンラインで開催されました。今回は、Dr.靳春雨(立命館大学アジア日本研究機構・専門研究員)が「東アジアの漢籍をめぐる文化交流:13~17世紀の詩集の還流を事例として」と題する発表を行いました。Dr.靳は、唐時代の中国から近代までの長期的な視野に立って、漢籍(漢書)が朝鮮・日本・ベトナムなどのアジア圏へと伝播し、また、それが中国へと還流していく過程を、当時編纂・出版された古文書をひも解くなかで明らかにする研究を行っています。

 今回の発表で、Dr.靳は、特に、漢籍の分類である経史子集のなかでも、多くの研究が蓄積されている経部(古典)・史部(歴史書)・子部(思想書)に対して、詩文学作品群、つまり集部の還流過程に関する研究が少ないという問題状況を指摘し、中国明代の詩集を主に事例として取り上げ、それが日本でいかに編纂・出版され、中国に還流し、地域的な文学ネットワークを形成してきたのかについて、緻密な史料分析とともに示しました。発表後には、なぜ既存の研究が経部、史部、子部に偏ってきたのか、また、なぜ日本では集部の受容が盛んに行われたのかなどの論点をめぐって参加者の間で活発な質疑応答が交わされました。

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研究報告をするDr. 靳