所長メッセージ

次世代研究大学をめざして、さらなるアジア・日本研究の発展のために。

0511-02リンク先写真kosugi

アジア・日本研究所長 小杉 泰

 立命館大学は、2021年度から研究高度化第4期中期計画をスタートさせました。「次世代研究大学」をめざして研究活動をいっそう発展させ、「アジア太平洋」に位置する大学としてグローバル社会への貢献度を高めていくことを目的としています。

 立命館アジア・日本研究機構と、その傘下の立命館大学アジア・日本研究所は、2015年12月に設置され、「アジアの時代」に資する本学らしいコンセプトと戦略性を兼ね備えた研究の推進や、国内外に向けた成果発信の実現に向けて尽力してきました。

 本研究所はこれからも、自然科学・人文科学・社会科学の各分野における発展と、諸分野を架橋し融合する学際的研究を推進し、新しい価値を創造するような、挑戦的かつ独創的な知の創造拠点として、アジアに基軸をおいた、新たなアジア研究、アジア・日本研究の可能性を追求してゆきます。

 すでに2016年開始されたアジア・日本研究推進プログラムは、「共生」「共創」「協働」の3分野で合計21のプロジェクトが採択され、現在も11プロジェクトが精力的な研究活動を展開しています。

 国際連携の一環として、グローバルな多言語政策提言フォーラム「Meridian180」(本部:ノースウェスタン大学)にも参加して、日本からの国際的な発信に努めています。2022年7月には、その成果の1つであるe-book City, Public Value, and Capitalism が刊行されました。

 若手研究者の育成も、本研究所が力を入れているところです。その一環として、2018年には、「英語論文執筆サポートプログラム」、2019年には「キャリアパス形成力開発プログラム」、2021年には「次世代研究者育成プログラム」が開始されました。毎年、若手研究者を支援して、若手が企画・運営するたくさんのワークショップを開催しています。現代では、研究者は研究・教育に貢献するのみならず、国際研究集会の企画・開催など、研究活動を活発化することに貢献しなければなりません。その面でも若手研究者が技量を備えて成長してグローバルな成果発信に参画できるように、丁寧なサポートを提供しています。

 グローバル化と国際発信を強化するために、英文学術誌の刊行にも力を入れています。2022年には英文ジャーナル『Journal of the Asia-Japan Research Institute of Ritsumeikan University』第4号を刊行し、「投稿を随時受け付け、査読が終了次第掲載」という今風なスタイルのオンライン英文ブレティン『AJI Academic e-Bulletin』も3号が刊行中です。充実した書評が評判となっている和文学術誌の『立命館アジア・日本研究学術年報』3号もまもなく刊行されます。英文を主体とするAJI Booksも、創刊1年半で5冊を数えました。

 2019年12月末に始まったコロナ禍の中で、世界中の研究・教育も大きな影響を受けてきました。特に、本研究所のようにアジア各地での現地調査や国際的な研究交流が不可欠な分野では、グローバルな人的移動の制約などによって大きな困難が生じてきました。それを乗り越えるべく、提携・連携する国外の大学や研究機関との協力と研究のDX(デジタルトランスフォーメーション)の推進によって、新しい研究作法の開発にも努めてきました。新しい研究やグローバルな交流、成果発信の作法は、今後も開発を促進すべき重要な柱となっています。

 アジア・日本研究のさらなる発展を期す、今後の研究活動の展開にご期待ください。是非とも、皆さまのご支援とご鞭撻を賜りたく存じます。

(2022年7月)