所長室から

研究成果が出版されました! 『教養としての世界史の学び方』

 このエッセイは書評ではないので、率直に書いてしまいますが、面白い本が出ています! しかも、本研究所の「アジア・日本研究推進プログラム」の一つ、「『大分岐』と『大収斂』:アジアからの世界史像の再構築」の研究成果を盛り込んだ本というのですから、こんな嬉しいことはありません。

 編著者は、プロジェクト・リーダーの山下範久先生、『教養としての世界史の学び方』東洋経済新報社。(刊行は、今年4月。)

 帯に「世界史は最強のリベラルアーツだ!」と惹句が書いてあります。学内の方なら、このメッセージはすぐに合点がいきます。山下先生は3月までは国際関係学部の教授でしたが、4月からは新設のグローバル教養学部にお移りになりました(現在、教授・副学部長)。グローバル教養学部は、グローバル化時代の新しいリベラルアーツを創るという斬新な学部で、そこの世界史の専門家が「世界史は最強のリベラルアーツだ!」と言うのですから、パンチがあります!

 表紙の上のほうに、英語で「Historical Literacy in the Age of Post-Globalization」と書いてあります。題名・内容のエッセンスを国際的に理解してもらえる形で表現したのだと思います。「ポスト・グローバル化時代における世界史のリテラシ-」ということですね。

 今の時代をどうとらえるか、まだグローバル化時代なのか、もう一歩先へ行って、もうポスト・グローバル化時代なのか。そうであるとすると、これまでのグローバル化時代とは何か。それを考え出すと、現代の世界をどこから解析するかという話につながってきますが、「世界」がどうなっているかは、「世界」の歴史を理解していないとわからないわけです。そこに、リテラシーが必要となります。

 編著者・山下先生のことばで言えば、「現代を理解する枠組みとして世界史を適切に参照する力」が、そのリテラシーなのです。

 いいですね、頭にガツンと入ってきます。「現代を理解する枠組みとしての世界史」、それを適切に参照する力は、学生たちにも、私たちにも、あってほしいものです。

 以上を前書きとして、本の中身そのものに入ろうとしているのですが、ここではたと気がつきました。
本格的にこの本を紹介するとなると、相当な分量を書かないといけません。新しいものの見方と研究成果がぎっしり詰まった440頁もある本なのです。ホームページのエッセイ欄では収まらない感じです。

 うーん、やはり、エッセイだけではなく、本格的な書評を書かないといけない気がしてきました。

 とりあえず、今日は、世界史とか、現代とか、グローバル化時代とか、西洋中心主義をアジアから考え直すとか、そういったことに関心がある方には必読の面白い本が書店に並んでいる、ということをお知らせしたということで、筆をおきたいと思います。
続きは、別な機会を設けたいと思います。乞うご期待。

0925-01書影 教養としての世界史の学び方

(2019.8.29記)

本の表紙等は下記URLよりご覧下さい。外部のページに移動します。
https://www.amazon.co.jp/dp/4492062114/ref=rdr_ext_tmb