研究プロジェクト紹介

和解領域

トランスナショナルデジタルアーカイブの構築による近代日本植民地史の研究

プロジェクトリーダー
文学部

山崎 有恒 教授

アジアと日本の和解と相互理解を推進する、新たな歴史研究の枠組みを構築

しばしば「近くて遠い」と評されるアジア諸国と日本。それぞれの国の歴史に対する認識の相違が、その関係に長く影を落としてきました。学術界においても、多くの場合実証史料の有無に関係なく、互いの国について感情的、政治的な文脈で語られてきた経緯があります。そうしたアジアと日本の間に横たわる深い感情的なもつれを解きほぐすべく立ち上げたのが、本プロジェクトです。

プロジェクトリーダーの山崎有恒を筆頭に、プロジェクトメンバーらは、これまで数十年にわたって共同研究を重ね、連携のネットワークを築いてきました。本プロジェクトは、それをベースに中国、インドネシア、その他のアジア各国に連携の輪を広げ、新世代の研究者が史料情報を共有し、共通の研究基盤に立って理性的・実証的に史実を明らかにできる新しい歴史研究の枠組みを構築することを目標としています。プロジェクトを通じてアジアと日本の和解と相互理解を推進し、「恩讐の彼方」にともに手を取り合う未来を目指したいと考えています。

プロジェクトでは、日本の植民地支配に関する史料についての「近現代東アジア史研究デジタルアーカイブ(仮称)」を作成し、Webサイト上で公開します。具体的には、朝鮮半島や台湾、中国大陸などに残る日本がアジアを植民地化した時期(1895年~1945年)についての史料を対象に、史料名や所蔵場所はもちろん、利用方法や概要などを記載した目録を作成しています。このアーカイブの特長は、単なる所蔵情報ではなく、実際に史料の所蔵場所を訪れ、利用した研究者の視点で概説や利用上の留意点を記載しているところにあります。

加えてプロジェクトでは、史料情報を共有するメンバーで国際共同研究も実施します。研究報告会や史料との出会いについて語り合う研究会などを行い、その情報もWebサイトで公開していきます。現在、2017年度中のWebサイトの公開を目指し、コンテンツの充実を進める一方、今後は日本語のみならず、中国語、韓国語など多言語化も進めていく計画です。

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