研究プロジェクト紹介

和解領域

ASEAN共同体時代の東南アジアにおける人間の安全保障

足立 研幾教授 写真

国際関係学部

足立 研幾 教授

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「人間の安全保障」という観点から東南アジアの諸課題の解決に貢献する

集合写真

東南アジア諸国はこの10年、目覚ましい発展を遂げています。政治・経済・社会統合が進み、その過程で多くの国が民主主義体制に移行しました。しかし実はこうした発展の陰で格差が拡大し、日々の暮らしにも困窮する人が増加。民族紛争や宗教紛争、テロの脅威が増大している現状があります。本プロジェクトは、「人間の安全保障」という観点からこうした、ともすると見えにくくなっている諸課題をあぶりだそうとしています。人間一人ひとりの安全に焦点を当てることで、国・地域レベルでは捉えられない課題を浮き彫りにし、人々が安心して暮らせる社会を構築するための提案へとつなげることを目指しています。加えて、理論研究を通じて「人間の安全保障」という概念をさらに精緻化し、21世紀の世界で適用可能な概念へと再構築することも目的としています。

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プロジェクトの1年目は、「人間の安全保障」概念・政策の理論研究を進めるとともに、ミャンマーで現地調査を実施します。農村などで人々の生活や経済、食糧事情などについて質的調査を行うとともに、少数民族を対象とした調査も行う計画です。すでに実施した予備調査でも、経済が豊かになる一方で違法な交易が増加。その中で深刻な人権侵害が起こっている現状が明らかになっています。さらに2年目以降は、インドネシア、フィリピンでも調査を行い、それぞれの研究成果を比較分析します。本プロジェクトを通じて東南アジア各国の研究者とのネットワークを充実させることも重視。国際ワークショップやシンポジウムを開催し、研究成果を共有することも計画しています。

また現地調査や理論研究にはリサーチ・アシスタントとして後期博士課程の学生も参画させ、若手研究者を育成する機会としても活用しようと考えています。

「人々が安心して暮らせる社会をいかに構築するか」という「人間の安全保障」という視点から東南アジア諸国の抱える課題を考察し、学術面から新たな知見を提供するだけでなく、政策的、社会的な提言を通じて課題解決にも貢献できると考えています。

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