中小企業における稲盛経営哲学の浸透プロセス:
経営者を中心とするライフヒストリー収集を中心に
プロジェクトリーダー:サトウタツヤ
プロジェクトリーダー:サトウタツヤ
本プロジェクトでは、稲盛経営哲学を経営に活かしている会社の社史を作ることを目的とするが、単に歴史のみならず、会社の現在を捉えるために文化人類学における(インタビューなどを含む)フィールドワークの手法を用いて、個々の会社の文化の構造を明らかにすることを目指している。
つまり、本プロジェクトでは、会社の歴史としての社史(History of the Company)だけではなく、会社の民族誌(エスノグラフィー;現場で起こっていることのすべてを詳細に記述した文章)としての社誌(Ethnography of the Company)をも作成することになる。歴史的なデータを重ねた「社史」を土台とし、過去から現在に至る社内の描写も記録して「社誌」を作ることで、稲盛経営哲学の浸透過程について明らかにすることができる。また、現実に存在する会社の社史を作るプロジェクトを行うことにより、稲盛経営哲学がそれぞれの会社の経営においてどのような機能を果たしているか、を理解する素材を提供することができる。
本プロジェクトの成果としては、社史/社誌がこれまで順次刊行されており、今後も続いていく予定である。また、本プロジェクトにおいては、家族主義の醸成が重要であるという創発的な知見(新たな発見)を加えることができており、いわゆる日本的経営と稲盛経営哲学の関係をより深く理解するのに役立つ可能性がある。さらに、人文社会科学(特に文化人類学や文化心理学)が編集という力量を活かして、社会のニーズに応える可能性も模索されている。
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Japanese / English