迷い、悩んだ大学・修士課程
朧気ながらも研究に関心を持ったのは、小学校の夏休みの自由研究です。その頃から漠然と「将来は研究者になりたい」という思いを募らせていました。
大学は薬学部に進学したものの、修士課程までは自分が想像していた研究とは異なる環境に、「どう進路を定めたものか」と悩む日々が続きました。研究者としての基盤を築くことができたのは、博士課程に入ってから。博士課程に進学する学生が少ないためか、指導教官が、熱心に研究の進め方を教えてくれました。若いうちに優秀な研究者に基礎トレーニングを受けたことは、今振り返っても非常に重要なことだったと思います。
研究者としての転機は、留学です。博士課程での研究が評価され、アメリカのハーバード大学医学系大学院の関連病院である、ボストン小児病院に博士研究員として働けることになりました。世界屈指の研究機関です。修士課程の頃一人論文を読みつつ、どういう環境であれば、飛び抜けて優れた研究論文を出せるのかと思いを馳せていました。「最先端の研究とはどういうものか、自分の目で確かめてみたい」。そう願った通りの場所への留学でした。