香港の繁華街に建つ「チョンキンマンション」には、タンザニアから来た商人たちが住み、さまざまな商品の交易を行っています。このマンションで半年間暮らし、世界中から香港に集まってきた零細商人たちが営むアンダーグラウンドなビジネスについて調査しました。
チョンキンマンションに長期間住んでいるタンザニア人商人たちは、主に母国から買いつけに来た人と香港の商人との間を取り持つブローカーとして生計を立てています。その取引は雇用統計に載らないインフォーマル(非公式)なものですが、彼らが「TRUST(トラスト)」と呼ぶしくみを通じてアフリカ諸国と香港との交易がスムーズに成り立っています。彼らは、Facebookなどを使ってオークション形式で商品を取引し、仕入れ費用がない時にはアフリカの電子マネーをやり取りする独自の地下銀行システムをつかってクラウドファンディングもします。先進のテクノロジーを使った独自のビジネスが生まれ、グローバルな交易のネットワークが広がっているのです。こうしたアンダーグラウンドの経済からは、先進諸国で注目されているものとは、違った「シェアリング経済」のしくみが見えてきます。