100年後、1000年後のために、今できることを
吉光奈奈さん(理工学研究科博士課程後期課程2回生)
理工学部 小笠原宏・川方裕則研究室で、固体地球物理学(地震学)を研究。2011年日本地震学会秋季大会で「日本地震学会学生優秀発表賞」を受賞!
昨年10月12日(水)~15日(土)に、静岡県コンベンションアーツセンター・グランシップで行われた日本地震学会で、私の発表が「日本地震学会学生優秀発表賞」を受賞しました。
今回受賞した発表は、「広帯域連続集録から得られたAE(※1) のコーナー周波数と地震モーメントの関係」と「南アフリカ金鉱山の断層近傍における地震波干渉法により推定したグリーン関数と透過弾性波記録の比較」という、日頃から取り組んでいる研究をまとめたものです。
この学会は、日本各地から集まった研究者や学生が発表を行うもので、研究テーマによって会場が分かれ、学生の発表が口頭でのプレゼンテーションとポスター発表で審査されます。ポスター発表は、自分のポスターの前に訪れた来場者の方に向けて説明を行うため、落ち着いて発表することができ、その点を高く評価していただけたのかもしれません。
研究では、昨年4月から南アフリカに設置している地震計のデータを解析したり、川方先生と一緒に企業の研究所の設備を借りて、共同実験をさせてもらったりしています。
ただインターネット上でデータを集めて解析するだけではなく、現地に行って活動を行ったり、実際の断層を見たりなど、実地での作業も多いんです。また、地震はいつどこでおこるかわからないもの。実験では制御をしながら人工的に地震に見立てた破壊を起こして、破壊面の近くでデータをとっています。研究室では、自分の意見を取り入れた観測をさせていただき、責任も感じますが、大きなやりがいを感じています。
学部生の時は、人前で話すのが苦手でしたが、大学院生になると学内外に関わらず、発表の機会が多いので、時間をかけてプレゼンテーションの練習を行いました。せっかく研究した事が、相手に伝わらないともったいないと思ったからです。
さまざまな学会に参加し、いろんな人と話をするうちに、社会で何が必要とされているのか、自分の研究がどう役立っていくのかに興味が出てきました。これからは、自分の研究分野だけではなく、防災などの幅広い知識も身につけたいと思っています。
地震学は、まだ100年ほどの歴史しかありません。研究の成果はすぐにはでませんが、だからといって研究を止めてしまったら、研究成果が生かせる可能性も永久にとだえてしまいます。
100年後、1000年後になってからでも自分の研究が役立てばいい。
私はそう思いながら、日々、研究を続けています。
※1 AEとは・・"Acoustic Emission"の略。岩石試料の圧縮破壊試験を行った際に試料の中で発生する微小な破壊によって放出された波のこと。(自然地震の「地震波」に対応するものです)