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369 -  完成!アイデアいっぱいの「コンクリート楽器」!

完成!アイデアいっぱいの「コンクリート楽器」!

平尾一樹さん(理工学研究科博士課程前期課程1回生)
中村彩乃さん(理工学部4回生)

理工学部 岡本享久研究室に所属
2012年1月に川崎市で行われた「第7回全国手づくり楽器アイデアコンテスト」に出場し、手作りのコンクリート楽器を演奏!

  • No.369
  • 2012年3月23日更新

私たちの研究では、コンクリートと木の違いをさまざまな視点から分析しています。「コンクリート」は、日本で100%まかなえる物質。建築や構造物で見かけることは多くても、少し遠い存在だと感じたことはありませんか?そこで、コンクリートを身近な音楽の分野に取り入れ、そういったイメージを変えたいと思ったのが、楽器づくりの発端です。研究室の先輩も、これまでそうやって楽器作りに携わってきました。

最初に作ったのはコンクリートの「ハープ」。でも、音が鳴らなかった上に重くて研究室から運ぶことができませんでした。その後製作したパイプオルガンは、持ち運びの際、大学の門を出る時に衝撃をうけて破損。失敗を重ねてもめげずに、さまざまな楽器づくりに挑戦し、前向きに分析しながら、改良を重ねていきました。「もち運べる大きさ」「音階がでるもの」「誰でもひけるもの」に重点におき、昨年完成したのが、この「ハンマーダルシマ」という民族楽器です。

コンクリートで作った楽器は、型枠にはめこんでから、完成するまで2ヶ月ほどかかり、その間は音を鳴らすことができないので、成功しているのかどうかもわかりません。

ものすごく手間がかかる分、音が鳴った時の喜びは言葉では表せないほどです。木は音を吸収しますが、コンクリートはよく響きます。特に高音だと、その違いがよくわかるのが特徴です。また音響解析のデータをとるため、木とコンクリートでつくった楽器の2種類の音を街頭アンケートで聴き比べてもらう、官能検査※を行ったりもしました。
昨年から僕たちも研究にかかわるようになり、うまく完成した楽器を使って、学内外で発表会を行うようにもなりました。昨年7月にはJR大阪駅で、プロの演奏家の方に来ていただき、アルプスホルンの発表会を行ったり、12月に東京ビックサイトで行われた環境展示会「エコプロダクツ2011」で、BKC代表として、ブースも出展しました。

→JR大阪駅で行われたアルプホルンの発表会の様子

「全国手づくり楽器アイデアコンテスト」へは、岡本先生の薦めもあり、応募しました。10月の予選に応募したビデオでは、楽器の製作工程の説明と演奏風景などを入れて送りました。私たちは予選を通過するだろうと思っていましたが、結果がでるまで、岡本先生が一番、心配して下さっていたように思います(笑)結果、400チームの予選の中から上位10組に選ばれて、今年1月に行われた全国大会に出場することになりました。

本番に向けて、私たちとしても目標をもっていました。コンクリートの楽器はまだせまい世界でしか知ってもらえていません。このコンテストに出場することができれば、有名な評論家の方にも評価をしてもらえますし、テレビでも放送してもらうことができます。外に発信できる絶好の機会だと思いました。ただ、私たちの演奏を見てもらえるチャンスは1度きり。そのチャンスを最大限に活かすために、どうアピールすべきかを2人で考えました。

演奏する曲は多くの人が知っている「世界に一つだけの花」にし、バックの演出にもこだわりました。私たちの研究が伝わるようにコンクリートでできた旗を持ったり、コンクリート楽器の拡大写真を持っていったり。研究室から、このコンテストへの出場は3回目。出場者のみなさんからも「今度は何のコンクリート楽器を作ったの?」と聞かれたりもしました。当日は、私たちの先輩や、岡本先生も応援に駆けつけてくださいました。緊張しましたが、ちゃんと演奏できたと思います。当日優勝したのは、カメラのフィルムケースをつなぎあわせた笛を演奏したチーム。ほかにもフライパンでつくった楽器やユニークな作品をたくさん見ることができました。上位3位に入賞することはできませんでしたが、審査員の方からは「今後もコンクリートの楽器をつくり、いつかアンサンブルで演奏してほしい」という講評をいただくことができました。

―お2人に活動を通して成長した点や今後の目標をお聞きしました!

平尾さん・・・実は、コンクリートを楽器にしたいと企業に相談した時、最初は「難しい」といわれてしまったんです。でも、諦めずにチャレンジして成功したのでよかったと思いました。いろいろと自分たちで考え、行動することが大切だということを学びました。また学内外で発表する機会もあり、コンテストではさまざま楽器を見ることができて、自分自身の視野も広がりました。今は、来年の手づくり楽器アイデアコンテストに向けての楽器も構想中です。それと同時に、この研究結果や体験したデータを研究資料にしっかりまとめていきたいと思います。

中村さん・・・私は岡本先生や研究室の先輩たちから、「最初はあまり積極的に動いていなかった子が、少しでも疑問が起こった時に、自分が納得するまで突き詰めていくように変化していった」と言われました。私は研究以外に、週4日は社会人チアの活動をし、アルバイトもしていましたが、すべて両立することができました。大学でこういう経験をしたと、胸を張って言うことができます。春からは住宅関係で働きますが、就職先でも役立てる知識を身につけられたかなと思いますね。またコンクリートの楽器は高音部分が聞き取りやすいので、お年寄りにも受け入れてもらいやすいのではと思います。そちらの研究も重ねていきたいですね。

※官能検査(かんのうけんさ)または官能試験(-しけん)とは、人間の感覚(視覚・聴覚・味覚・嗅覚・触覚など)を用いて、さまざまなもの(食品、化粧品等々)の特性を、一定の手法に基づいて評価したり測定したりする検査のこと。(Wikipedia引用)

→これまで岡本研究室のみなさんが作られたコンクリート楽器の数々!左上から、ハープ、パイプオルガン、(下)ハンマーダルシマー(初期)です。

―取材後、お2人に「世界に一つだけの花」を演奏していただきました。
みなさんもぜひコンクリート楽器の音色をお楽しみください♪


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