私は、第11回JCF学生映画祭において、学生映画アワード部門で準グランプリを獲得することができました。この祭典は、若手を世に輩出することが目的の学生映画祭です。「才能の発掘と育成」という点で注目・支持されています。映画は、人に見てもらうことで初めて“映画”になると考え、今回、応募することを決意しました。映画祭で多くの人に見てもらうことで、自分や仲間の活動が活発化し、意識が変わりました。自分の作品が選ばれた時は、本当に驚きました。映画に込めた想いが、少しでも伝わったのかな、と感じることができ、とても嬉しかったです。審査員を務めるプロの方々に、アドバイスをいただくことができたことも、貴重な経験になりました。

高校時代、様々な思春期の悩みを抱えていた私は、映画を見るようになりました。その頃に見た「パッチギ」という映画に励まされ、同時に、「映画の力」に惹かれました。役者・画・音の力など、さまざまな力が一つの画面を通して伝わってくるのは映画だけで、それが映画の魅力だと感じました。私も「人に何かを伝える映画をつくりたい」と思い、映画制作の道に進むことを決めました。

　

今回の作品は、環境が異なる男女がコインランドリーで出会い、お互い成長していくというストーリーです。20歳の自分にしか描けないリアルさを追求し、「なにくそ！って生きなあかんやん」というメッセージを込めました。今まで経験したことも視点の一つとして活かされていると思います。映画づくりは、役者の力、カメラ、照明、どれ一つ欠けても良い画にはなりません。それらが絶妙にかみ合った時、一番わくわくします。そのわくわくのために、精一杯スタッフで考え合い、力を出します。 映画をつくる上で、スタッフが「家族」になるということは、とても大事です。家族であるからこそ、遠慮なく指摘し合い、作品制作をより深めることができます。今回の受賞作『哀の夜明け』では、撮影が思うように進まず、心が折れそうなときや不安なときも、夜が明けて翌日になるまで一緒に考えてくれました。スタッフに支えられたからこそ、辛い時期を乗り越え、形にすることができました。 だから、自分だけの作品なんてとても言えないです。スタッフのみんなには、本当に感謝しています。

私の尊敬している若松孝二監督がおっしゃられていたのですが、

「一本の映画が人生を変えることがある。映画はそれだけの力を持っている。
予算じゃない。学歴じゃない。文法もない。映画づくりで一番重要なのは「志」。
その「志」を持って映画を造る事が大切」

この言葉に感化され、今の生きていく力にもなっています。

これからは、人が目を背けがちな社会の端に目を向けて、問題を訴えていけるような映画を制作、そして広める事ができたらいいなと思っています。



映像学部　実写制作ゼミ映像作品上映会「シネマグラ」（入場無料）
 【開催日】
10月24日（水）、30日（火）、31日（水）
【時間】
10月24日（水）18：10～
10月30日（火）18：00～
10月31日（水）18：10～
【場所】
立命館大学衣笠キャンパス・充光館「301教室」

『哀の夜明け』スタッフ
松本昇太さん、柚木繁之さん、金地雅明さん、田中千遥さん、小川 真有紀さん、
佐々木 進さん、 鈴木勇太さん、山下翔五さん、松田 茜さん、太恵須 優真さん、
中本一貴さん、竹内彩紗さん

※竹内さんが準グランプリを受賞した作品「哀の夜明け」は30日（火）に上映されます。みなさん、ぜひ足を運んで下さい！