昨年12月20日から24日、彦根市のショッピングセンター「ビバシティ彦根（以下：ビバシティ）」において、建物の壁面に立体的な映像を映し出すプロジェクションマッピングイベント「みんなのクリスマス」が開催された。本イベントについては、立命館大学映像学部でメディアアート制作に取り組む登録団体「REM」(レム)を中心とした学生たちがその映像制作を行った。これはビバシティと立命館大学映像学部の産学連携プロジェクトで実施されたものである。今回は「REM」に所属する3人に話を伺った。
　
REM以外からも学生を集めて制作チームを結成したが、メンバーのほとんどは映像制作の経験がない学生ばかり。片山さんも初心者の一人であった。山田さんを中心とする上回生の指導のもと、ソフトの基礎的な操作方法や講習会を実施し、チームの技術力を高めた。「人に教えるということは正確な知識を必要とします。講習会を通して、曖昧な知識を再確認することができました。」と山田さん。講習会を撮影したビデオを共有し、講習会を欠席したメンバーも自習できるようにフォローするなどの工夫を凝らしたそうだ。
　　

制作期間は苦労の日々だった。初心者メンバーによる制作作業は、想像以上の時間を費やした。授業後の限られた時間のなかで納期に追われ、やっとの思いで作り上げた作品も「これでは立体的に見えない」「突然ロゴ（ＲＥＭのロゴ）がでてきても、見ている人は何の団体かわからない」といったクライアントからの指摘が胸に刺さった。お客さんの視点が自分たちに足りなかったことにも気づいたそうだ。代表としてプロジェクトを進めた野田さんは、メンバーと密に連絡を取り合い、みんなのモチベーションや作業の進捗に気を配ったという。こうして、企業が求めるクオリティに近づけるため試行錯誤を重ね、作品を完成させた。



「もっと良いものができたのではないか」という思いもあったが、幅広い年代のお客様に映像を見てもらうことができ、スマートフォンで写真を撮る人や音楽に合わせて踊る子どもたちの笑顔がとても嬉しかったという彼ら。「周りの支えがあったからこそ、自分たちの作品ができ、多くの人に見ていただけたと改めて実感しました。」と野田さんは振り返る。また片山さんは「技術を学んだ以外にも、お客さんに見ていただく喜びなど映像制作に携わることの魅力を感じることができました。」と今後の制作活動への意欲を示した。

　

映像を使ってどんな作品を生みだしていくのか、今回の経験を通してメディアアート制作の魅力を実感した彼らの今後の活動に期待したい。



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