「一度、選挙にいって投票してみませんか?」若者の投票率向上に取り組む
東 大地さん(法学部4回生)
「日本について自分は何も語れない・・」スノーボードの高い技術と英語の語学力を身につけるため、2012年にバンクーバーへ渡った。語学学校で出会った世界各国の留学生たちはみな、自国の文化や政治について熱心に語りあっていた。自国についての知識や関心の薄っぺらさに気づいた東さん。海外での生活をきっかけに国際情勢に興味をもつようになり、さらに国内にも関心を向けるようになっていく。
2008年に原田謙介氏が創設した、若者の投票率向上に取り組む学生団体「ivote」。東さんは帰国後、「ivote」の関西支部の(第1期)メンバーに加わり、広報局で団体の周知やイベントの集客、実績報告書の作成などを行っている。ivote関西では、同世代の若者が気軽に政治家と話すきっかけづくりや食から社会を知る場としてBarを運営している。また、東さんがプロジェクトリーダーを務める「教育ivote」事業では、中高生への政治教育や主権者教育の必要性を打ち出す出前授業などを実施している。
日本の20代の投票率は30%前後(国政)。70%あるヨーロッパと比べると2分1以下だ。「若い人たちの国政に対する当事者意識と国への帰属意識の低さ、政治の知識不足が原因にあると考えています。だからこそ、その穴を埋めたくて教育ivoteを始めました。18歳選挙権が成立し、来年の参議院選挙からは高校3年生とすべての大学生が選挙権を有します。」と東さん。出前授業では生徒たちの興味を引くため、実際の衆議院選挙のマニフェストを用いた模擬投票のほか、「民主主義の概念」を学ぶコンセンサスゲームも取り入れている。教える立場として政治的中立性の難しさを感じる一方で、“投票に行く”と話す生徒たちの反応が嬉しいという。
「人が集まると“国”が形成され、“国”に住んでいる人であれば、国に対する何らかの思いを無意識にでも持っているのではないかと思います。その思いを行動(投票)で示せることが、民主主義かなと思うんです。海外に行って自分が『日本人』ということを意識するようになり、『日本のことを大事にしたい』『守って生きたい』と思うようになりました。」自分のために生きてきた過去の自分を、“ただの自己満足”だったと振り返る。今は次の世代のため、将来の家族のために行動(投票)することができるようになった東さん。「それが結果的に回りまわって自分のためになるような気がするのです。」と笑顔で語ってくれた。
東さんは、イベントで出会う若い人たちに「投票に行ってください」とは言わない。投票するかどうかは自由だからだ。「一度そっちの世界をみてみませんか?」と問いかけてその入り口までガイドすること、「政治」を分かりやすく優しく伝えること、が自分の役目だという。「周りの人と日常的な会話の中で、当たり前のように国や政治の話ができたらいいですね。」
ivote関西は来年2月に行われる京都市長選挙での啓発や、同年7月にある参議院選挙に向けて全国の中高生や大学生、民間の団体と協力し、全国規模での投票(模擬)を実施する予定だ。
《ivote関西》
HP:http://i-vote.jp/kansai/
FB:https://www.facebook.com/ivote.kansai/
Twitter:@ivotekansai