建物が実践教材?!! トリシアに迫る!

アクトα

新しく生まれ変わったアクトαは、建築都市デザイン学科の学生を中心に構成された学生団体「Design Factory」が、施設の企画・構想に参加。工夫された3つの分棟の配置により、理工系プロジェクト団体による研究・ものづくりの新しい交流の場が生まれています。

学生が設計の
全般に参加

理工学部建築都市デザイン学科
藤井健史 助手

藤井健史 助手(理工学部建築都市デザイン学科)

「学生の課外活動施設であるアクトαを、学生の目線から設計してみたらどうか」というキャンパス計画室室長の及川清昭・理工学部教授の呼びかけが、このプロジェクトの始まりでした。そこで、建築都市デザイン学科の学生を中心に構成されるサークル団体Design Factoryに有志を募り、コンセプトを考える段階から、設計の全般に携わってもらいました。学生がキャンパス内の建物の設計に関わることは、立命館大学では初の試みでしたが、学生らしいアイディアの詰まった建物ができたと思います。また、実際の設計に携わることは、設計チームの学生にとって、講義ではなかなか学びきれない建築設計の大切な部分を学ぶ、よい機会になったと思います。

「アクトα」のコンセプトは、「『分棟配置による“3つの庭"』と『“工場"のカッコよさ』で研究ものづくりの村をつくる」です。私は学生設計チームの取りまとめ役を務め、施設を利用する団体に何度もヒアリングを行う中で、どのような施設にしたらよいのか、学生設計チームと議論を重ねました。実際に学生のアイディアが反映されたものが完成し、利用されている様子を見たときには、学生と一緒になって感動しました。専門的・技術的な面で学生設計チームをサポートしてくださったキャンパス計画室、管財課、建築設計事務所や現場施工者のみなさまには本当に感謝しています。

グリーンビルディングコンソーシアム 注目ポイント

アクトαの企画・構想に参加した学生団体「Design Factory」
のみなさんに、建物のコンセプト、
こだわりのポイントを紹介してもらいました。

サイン(ロゴ)
サイン(ロゴ)

建物名「アクトα」のサインは、既存のフォントにしっくりくるものがなかったので、一から自分でつくりました。工場の生産ラインをイメージして、一筆書きで書けるデザインにしました。ものづくりの場所として建物全体でも表現したかった「工場のカッコよさ」もうまく表現できたと思います。面白い仕掛けとして、各サークルスペースの入口にあるQRコードを読み取ると、そのサークルの情報を得ることもできます。正面にある案内板も電気回路をモチーフにしたデザインとなっているので、ぜひ見てほしいです。
塚本敦之さん(理工学部4回生)

素材・色
素材・色

建物の外装はガルバリウムという金属系の素材を使いました。シルバーとホワイトを市松状に配置し、見る場所や日の当たり方によって、見え方が変化し、リズムを生み出します。全体を印象づけるテーマカラーについてもとても悩みましたが、爽やかさ・青春・「青は藍より出でて藍より青し」などのキーワードから、最終的には青に決めました。テーマカラーの設定によって分棟の建物群にまとまりを持たせることができています。
木下淳史さん(理工学研究科博士課程前期課程2回生)

インテリア・家具
インテリア・家具

1階の天井は張らずに、配管を見せることで「工場のカッコよさ」を表現しています。外観のイメージとの統一感を出すために、床のパターンやブラインドの色にもこだわりました。階段や渡り廊下には穴の開いたパンチングメタルを使用し、奥の自然緑地まで視線が通るようになっています。建物の前に設けられたオープンスペースに置くテーブルやイスも建物のイメージに合うように何種類もの候補から選びました。オープンスペースは展示スペースとしても利用できるように、照明の位置も工夫してあります。
小西佐枝さん(理工学部4回生)

配置・外構
配置・外構

3つの建物の配置は単純な横並びでなく前後にずらしてあります。そうすることで、横の建物とのつながりを意識しつつ、敷地内に3つの庭をつくり出しています。そのうちの1つであるキャンパス側に開けたオープンスペースでは、コンクリートタイルの床にテーマカラーの鉄骨とブレースで組んだ屋根を架け、日常的な休憩・交流に加え、さまざまなイベントに対応できるよう配慮しています。オープンスペースを囲むように設えた人工木の階段は、ベンチとしても使えます。敷地内の舗装は透水性ブロックを用いたストライプ状のデザインとすることで、キャンパスから裏の自然緑地へとつながる奥行き感を演出しています。
棚橋弘貴さん(理工学部4回生)

アクトα

入居サークルの方に聞きました

ロボット技術研究会 代表 麻生翔太さん(理工学部3回生)

ロボット技術研究会 代表
麻生翔太さん(理工学部3回生)


ロボット技術研究会は、ロボットコンテスト(ロボコン)に出場するロボットをつくったり、生活を便利にするようなロボットを研究したりしています。部室では、各々がプログラムを組んだり、部品を組み立てたりしています。ロボットを保管するにはスペースが必要なので、以前の活動場所より少し広くなってよかったと思います。金属を切ったり、穴を開けたりという作業をするときは、共有スペースのラボを活用しています。
理工学部のプロジェクト団体が集まっているので連携しやすく、意識を高めあうことができます。他の団体の活動が見えるので、良い刺激を受けて、モチベーションも高まりますね。

ライフサイエンス研究会 代表 八軒知美さん(生命科学部2回生)

ライフサイエンス研究会 代表
八軒知美さん(生命科学部2回生)


ライフサイエンス研究会は、主に小学生向けに科学実験ショーをしたり、新しい実験を開発したりしています。アクトαは他の建物に比べて近代的で、スタイリッシュなデザインなので、とても良いと思います。学生団体が中心になってデザインをしたと聞き、すごいと思いました。
新しい部室はきれいで、水道の蛇口も多く、ガスバーナーも使えるので、実験を開発しやすくなりました。共用のテラス部分は科学ショーの練習に使っています。小学生向けの科学ショーでは大きくはっきり話さないと伝わりにくく、大きな声を出す練習が必要なのですが、外に開けているテラスはその練習に役立っています!