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2017年度 立命館西園寺塾 7月1日講義「マツダのブランド価値経営 ~ロマンとソロバン~」を実施しました。

2017年7月1日(土)
 ・13:00~15:30 講義

          
講師:マツダ株式会社 代表取締役会長 金井 誠太
 ・15:45~17:00 ディスカッション
 ・17:00~19:00 1~4期生合同懇親会




▼受講した塾生のレポート(Y.N.さん)
 金井会長の“エンジニア魂”に、深く感銘を受けた。
 相反する技術課題に対して、バランス点を探るのではなく、ブレークスルーによって全体を持ち上げることにエンジニアとしての付加価値があるという考え方や、「これ以外に道はない」と思える目標が必要というお話など、同じ製造業に携わる身として非常に共感するとともに、現実問題として、なかなか実践しきれていない自分を猛省する機会になった。特に「10年先のビジョン」に関して、営業・企画部門が否定的だったのに対してエンジニアから発信したというお話は、頭を殴られたような衝撃があった。
 私自身は、研究開発部門において、企画・プロマネを担当している。顧客や市場を見据えて商品やソリューションを考え、開発・設計部門に「要求仕様」を出す立場である。分業の形態・開発プロセスとしては正しいと思うが、ともすると開発・設計部門のメンバーが、我々の作る「要求仕様」を自分の考えのスタート点にしてしまうことがある。特に経験の浅い若い社員にその傾向を感じることがあり、残念に感じている。ひと昔前の、腹の座ったエンジニア諸先輩にはなかったことだ。
 「エンジニアだからこそ、技術で作る将来を語れる」というお言葉(=“信念”と理解した)に、マツダの底力を感じた。このマインドは、自身の職場でも広めたいと思う。

 うかがったお話の中で、「Zoom-Zoom」という明確なブランドとターゲット戦略が、やはり重要な鍵だと感じた。「Zoom-Zoom 走る歓び」は、お客様自身を主語としてお客様にとっての価値を端的に表した、素晴らしいコンセプトだと思う。まさに「モノではなくコト」である。この”お客様自身を主語として、お客様にとっての価値を端的に表す“ことが、長年、機器の機能やスペックによって特定領域で勝負してきた身にとって、非常に難しい。お客様にとってのコトを生むべく、日々悪戦苦闘している状況である。
 また、「インコース高めのストライク」は、具体的な顧客層やマーケティング戦略を考えるにあたっての指針になるのだと理解した。我々の通信業界では、近年プレイヤーが変わりつつあり、(我々にとって)新領域の顧客にもビジネスを広げねばならないが、その際に、各論に入る前に、改めてこういった指針や狙いを確認することが必要だと痛感した。

 まずありたい姿を描き、それをバックキャスティングして日々挑戦する。根性論ではなく、失敗を市場に持ち込まないマネジメントを含めて実践してこられた金井会長のお話は、とても勉強になった。




▼受講した塾生のレポート(A.M.さん)
 「マツダのブランド価値経営」として金井会長には、2015年ビジョン策定の概要と背景にある考え方、策定時の議論の様子なども交えつつ、経営者としての思いとともに大変実践的で貴重なご高話をいただいた。
特に、「お客様」「取引先」「従業員」「地域」というステークホルダーを重視するという、一般的には抽象化し易い経営指針について、(直接的なご付言はなかったものの)マツダの中では、金井会長のリーダーシップの下、一貫した経営メッセージとして、現場実務の中で実践・徹底され浸透している様子を伺い知ることができた。
 なかでも、2015年ビジョンの策定にあたって「共に夢を語り、夢を描く」「経営者の役割は、社員に夢と希望を与え、自信と情熱と誇りを持って仕事をしてもらえるようにすること」という経営者としてのメッセージにも示唆を受けたが、それに止まらず、Know-whyや鳥瞰図の策定などを通じて、経営者と従業員、従業員間で徹底的な議論・コミュニケーションが図られ、これらが実践に繋げられているというカルチャーには、個人的に特に感銘を受けた。これは繁忙を極める経営者やマネジメントにとって、余程強い信念とリーダーシップがないと実行することは容易ではないはずである。しかしながら、こうした経営者との直接的な議論を通じてこそ、現場に至るまで社内全般に浸透させ実践できるものだと思う。
 また、永らく脚光を浴びているPDCAについては、「PDマネジメント」と「CAマネジメント」という類型により、「PD重視のマネジメント」の重要性を説かれ、非常に納得感のある示唆をいただくとともに、日ごろの自らのマネジメントスタイルを見直すきっかけとすることが出来た。
 更に、外部ステークホルダーに対する目線では、「自分は出し惜しみせず、たまに少し相手に要求する」「Give×3、Take×1」くらいでちょうど良い、という貸し借りに対する人の認識特性や、強者の強みを受け入れ弱者の強みに違和感を覚える人の深層心理にある「思い込み」を踏まえたブランド戦略の考え方についても、大変示唆に富むものであった。
 何より、「走る歓び」というキャッチフレーズが公表された際には大変感銘を受けた記憶があるが、それを表象する「Zoom-Zoom」を自社ブランドのコンセプトの軸に据え、安易に事業ポートフォリオの分散に走らず、特定のエリアにおいて「絶対的価値」の創出を追求するという経営者としての明確な思いが示された点、その一例として、人が主役=無人運転は(安全性向上の手段とするが)目的とはしない、という経営方針に繋げられている点にも、社内での徹底した議論により醸成されたマツダとしての一体感や、それを実現した金井会長の強い思いとリーダーシップを感じることが出来た。

 経営者として夢を思い描くことの重要性は言うまでもないが、ややもすれば大企業病に陥りかねない巨大な組織の中で、経営者の思いを共有し具現化していくための負担は計り知れない。その労苦を惜しまず、従業員との徹底した議論を通じ実践に繋げている金井会長の経営者としての強い思いに大きな感銘を受けると同時に、自身もマネジメントの立場として、少しでも今後の実務で実践していければという思いに至った講義であった。



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